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生肉食中毒:「真相究明が先決」 遺族ら責任転嫁に憤り

フーズ・フォーラス本社の家宅捜索で、肉とみられる塊を手にする捜査員(左端)=金沢市で2011年5月6日午後3時11分、幾島健太郎撮影
フーズ・フォーラス本社の家宅捜索で、肉とみられる塊を手にする捜査員(左端)=金沢市で2011年5月6日午後3時11分、幾島健太郎撮影

 富山、福井両県警の合同捜査本部が強制捜査に着手した6日、遺族たちは「これ以上、犠牲者を出さないためにも真相究明を」と訴えた。

 富山県高岡市に住む父(38)は先月22日、同県砺波(となみ)市の砺波店で長男(6)と食事した。生まれたばかりの次男(1)の子育てや仕事で忙しく連れて行けなかった焼き肉店に、せがまれて一緒に行った。ユッケとカルビ、ロースなどを注文。ユッケは主に父が食べ、長男が食べたのは二口ほど。過去には食べても異常がなかった。

 異変は2日後の夜に起きた。長男は頻繁にトイレに入り、深夜には血便も出て近くの病院に駆け込んだ。さらに大学病院に転院し、カテーテルを通して透析治療を受けた。一時は「『あと2週間くらいで退院できるかもしれない』と医師らと話していた」というが、29日午前10時過ぎに容体が急変、午前11時36分に亡くなった。

 葬儀を3日に終えた父は「卸売業者も焼き肉店も責任のなすり付け合いをせず、真相を明らかにしてほしい。亡くなった息子のためにも、これ以上犠牲が出ない対策を」と怒りを押し殺して訴えた。

 また、死亡した40代と70代の女性2人の親族の男性は、砺波市にある2人の自宅前で取材に応じた。男性によると6日、フーズ社の勘坂(かんざか)康弘社長らが女性宅を訪ね、遺族との面会や通夜・告別式への出席を申し出たが、遺族らは拒否した。亡くなった40代女性の夫は、食中毒で入院している子供2人の容体を心配しているという。親族の男性は「子供たちのために、何もしてあげられないので歯がゆい」とうつむいた。【石戸諭、岩嶋悟】

毎日新聞 2011年5月6日 21時29分(最終更新 5月7日 0時27分)

 

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