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【芸能・社会】

SM小説の父 団鬼六さん逝く

2011年5月7日 紙面から

 「花と蛇」などの官能小説で知られる作家の団鬼六(だん・おにろく、本名黒岩幸彦=くろいわ・ゆきひこ)氏が6日午後2時6分、胸部食道がんのため東京都内の病院で死去した。79歳。滋賀県出身。葬儀・告別式の日取りは未定。喪主は長男黒岩秀行(くろいわ・ひでゆき)氏。

 団さんは滋賀県彦根市生まれで、大阪育ち。関西学院大卒業後、相場師だった父親を題材にした「親子丼」が文芸春秋の小説雑誌「オール讀物」の新人賞に入選。純文学を書きながらバー経営に手を出すが失敗し、ポルノ小説を書き始めた。

 先物相場や株取引の経験をもとに経済小説などを執筆し、「大穴」は1960年に松竹で映画化されている。1961年ごろには雑誌「奇譚クラブ」に長期連載した「花と蛇」でサディズムとマゾヒズム(SM)を丹念に描いて話題を呼び、それまで未開拓だったSM小説の第一人者となった。

 女優の谷ナオミや杉本彩、ストリッパー小向美奈子が主演して映画化もされた。小向が主演した「花と蛇3」の舞台あいさつでは、自ら「面白い」と太鼓判。小向に「SMの気がある」と素質を見抜き、小向も「私、ドMです」と告白して笑いを誘った。

 そのほかの代表作に「夕顔夫人」「不貞の季節」「真剣師 小池重明」などがある。

 将棋好きとしても知られ、アマ六段の腕前。1989年に日本アマチュア将棋連盟の機関誌「将棋ジャーナル」の発行を社主として引き継いだが、赤字で94年に廃刊。借金を抱えた団さんは、89年に断筆宣言をしていたが、95年に「真剣師・小池重明」で作家として復活した。08年に将棋ペンクラブ大賞「功労賞」を受賞した。

 一方、映画の監督・製作やエッセーなど幅広いジャンルで活躍。晩年は腎不全などを患い、闘病しながら執筆を続けていた。

 団さんは、谷ナオミとの親交が深く、デビュー前から谷を見いだしていた。元プロボクサーで芸人の故たこ八郎さんが団さんのアシスタントを務めていたこともあった。

 昨年3月に公開された愛染恭子のヌード引退記念映画「奴隷船」も団さんの原作。東京・銀座で行われた初日舞台あいさつに、団さんは残念ながら、体調不良で欠席したものの、メッセージで「君(愛染)は、新ストリップ界の名花だった」と絶賛。これに、愛染は「団先生の作品を最後にハダカを引退するのは光栄」と涙ぐむシーンがあった。

 団さんは、自身の「鬼六ブログ」で身辺のことも語ってきた。今年2月には「ストレス発散」と題して、「たまにゲームセンターに行く。お気に入りは“もぐらたたき”とか“ワニ退治”。ちょうどいい運動、反射トレーニングになるね」と報告。

 さらに、以前の横浜の住まいには、インベーダーやパックマンのゲームを応接室に備えていたことも明かした。そのほか、ブログではちょっとした人生相談に乗ったり、愛犬アリスについて書き込んだりしていた。

 

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