焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」では、各店舗が売れ残ったユッケを翌日も客に提供していたことが分かった。チェーンを運営するフーズ・フォーラスは菌が付く可能性の肉の表面をそぐ「トリミング」をマニュアル化していなかったことも判明。一方、東京や大阪の焼肉店の客らは、ユッケについて「衛生管理をすれば大丈夫」との声の一方、「もう怖くて食べられない」との不安も漏れた。
フーズ・フォーラスによると、東京都板橋区の食肉卸業、大和屋商店から購入した真空パックを開封し生肉が売れ残った場合、冷蔵庫に保管し翌日も客へ提供。
2日間を意味する「デイ2」という独自のルールを定めていたが、フーズ・フォーラス社幹部は「衛生管理上(安全を保証する)根拠があったわけではない。食の安全に対する意識が低いと言われても仕方ない」と話した。
一方、大和屋商店は先月末、板橋区保健所の立ち入りで「生食用としては出していない。生で食べることは想定していない」と説明したという。保健所の拭き取り検査や倉庫の肉では食中毒菌は検出されなかった。
フーズ・フォーラスは低価格路線で業績を急速に拡大させたが、業界関係者からは「利益を追求し過ぎた結果ではないか」との声も出ている。
同社は1997年に勘坂康弘社長が創業。1皿100円の豚ばらや同280円の和牛ユッケなどの格安メニューを売りに、主に家族連れ客に人気が集まった。
2008年までに富山、石川、福井の3県で10店舗だった経営規模は、09年以降に急拡大。10年までに神奈川県を含めた4県で計20店舗に増え、勘坂社長は「20年度までに300店舗にしたい」と強気の姿勢を示していた。
一方、急拡大し始めた09年、同社は肉の調達先を、問題となったユッケを仕入れた大和屋商店に変更。安さなどが理由とされる。さらに同じころ、肉の自主検査もやめ、菌が付きやすい肉の表面を削る作業も、「もったいない」と店舗マニュアルに記載していなかった。
「まさかうちの肉に菌が付くとは思わなかった」。2日の記者会見で慢心を認めた勘坂社長。コスト削減を優先したことは否定したが、同社のある幹部は「経営が急拡大する中でひずみが生じた。安全の優先度は低く、ワンマン経営で意見も聞き入れられなかった」と打ち明ける。
金沢市の別の焼肉店の店主は「低価格商品で利益を追求し過ぎ、しわ寄せが客に回ったのではないか」と指摘した。〔共同〕
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