官邸がようやく「うん」と言った!?浜岡原発運転停止要請
5月6日、午後7時のNHKニュースを見ていたら、菅総理の記者会見が生で飛び込んできました。
静岡県御前崎市にある中部電力の浜岡原子力発電所の運転停止を要請したことを明らかにし、「東海地震に十分対応できるよう防潮堤の設置など中長期の対策を確実に実施することが大切だ」と述べたものです(詳報は産経5/6 20:07などでご確認を)。
浜岡原発が危険だという話は前々からあったようですが、最近、特に政局絡みでその話を聞いた覚えがあるなぁと思ったら、そう、青山繁晴さんが「アンカー」で言ってたんです。4月20日放送分です。
青山さんがこの時話されていた経緯を鑑みると、今回の菅さんの決断は評価すべきなのでしょうか?
以下、4月20日放送:「アンカー」アレバ社は信用できない&福島原発周辺で青山が見た現実の文字起こしより一部を自己引用。
静岡県御前崎市にある中部電力の浜岡原子力発電所の運転停止を要請したことを明らかにし、「東海地震に十分対応できるよう防潮堤の設置など中長期の対策を確実に実施することが大切だ」と述べたものです(詳報は産経5/6 20:07などでご確認を)。
浜岡原発が危険だという話は前々からあったようですが、最近、特に政局絡みでその話を聞いた覚えがあるなぁと思ったら、そう、青山繁晴さんが「アンカー」で言ってたんです。4月20日放送分です。
青山さんがこの時話されていた経緯を鑑みると、今回の菅さんの決断は評価すべきなのでしょうか?
以下、4月20日放送:「アンカー」アレバ社は信用できない&福島原発周辺で青山が見た現実の文字起こしより一部を自己引用。
青山繁晴
「それでもう1つ、もう1つのアメリカの心配事がこれなんです」
村西利恵
「2つめは、『もはや福島じゃない』」
青山繁晴
「はい。だからこれは、あの、カギカッコってのは実は、アメリカのその、NRCの高級幹部が、これは僕にじゃなくて、日本政府に言った言葉なんですよ、実はですね、日本政府の人に。で、これはさっき言った通り、福島が安全て意味じゃないです。でも、さはさりながら、アメリカ軍の、シーバーフ(CBIRF)っていうね、ちょっと日本語で言いにくいんですが、要するに放射線対策を施した特殊部隊っていうのは、来週もう帰ることになりました。従ってアメリカは、もし大地震がもう一回来たら大変だけども、今の状態で行けば、ま、時間はかかるけれどもだんだん安定していくから、その特殊部隊までは要らなくなったっていう考えなんですよ。しかし、実は日本にはもう1個大きな心配があるじゃないかと彼らは水面下で日本政府に言ってて、それは何かと言うと、福島じゃなくて、これなんです」
村西利恵
「それが中部電力の持つ浜岡原発」
青山繁晴
「はい。で、これ地図にないけど福島この辺ですよね。で、実際、東京には大きな被害、あの、原子力災害から被ってないわけですよ。ところがこれ前から言われてることなんですけど、中部電力の浜岡原発の場合は、ここで何かあったら東京が壊滅すると、風向きから言ってですね。しかもこれちょっと絵、出ますでしょうか」
青山繁晴
「この中部電力の浜岡原発がどういう場所に建ってるかというと、この東海地震、これ関西にも関係あって、ここ南海地震、心配されてますね(紀伊半島の南を指して)、つながったら東南海地震。その東海地震の何と震源域、その真っ只中に実は建ってしまってて、学者の研究報告の中には、ここに断層が複数通ってるっていう見方もあるわけです。そしてもう1つはですね、この、ここの、つまり3月11日の地震で引き起こした太平洋プレートと隣りの、フィリピンプレートが動き出すんじゃないかってことを、世界が心配してて、それをNRCの人はそれを僕にも、ザ・ネクスト・プレートって言ったんですよ。ネクスト・プレートっていうのは次のって意味じゃなくて、隣りのって意味なんですよ。だから、これは、今止めないと、動かしたまま、また大きな地震が来たら、福島第一原発を超えるような被害になるかもしれない。というのは、海に対してはこっちの方が弱いんじゃないかと言われてて、ま、今あの、政府が見直しやってるから、その、新たに防波堤を造るってことになってるんですが、それ2、3年後に出来上がるわけです」
山本浩之
「そうです、そうです。だから、だから、どうしてこれがですね、同時並行で、もう止めましょうっていうね、政府の中でそういう発言がないのかが不思議だし…」
青山繁晴
「公にはないんですが、僕は一昨日会った、その、この件をやってる政府当局者、地位の高い方は、もう止めなきゃいけないですと。しかしどうしても官邸がうんと言わないってことを言ったわけです」
岡安譲
「電力が間に合わないとかそういう理由ですか?」
青山繁晴
「えっと、これはね、これはもし浜岡、今、あの、2つ炉が動いてるんですけど、それを一旦止めるとですよ、その、ま、例えば点検しますって理由で止めたとすると、もう二度と立ち上がれないと。つまり再起動できなくなるだろうと。で、中部電力はこの浜岡しかないから、要するに中部電力は原発全部なくなってしまうと、いうことを1つ心配しててね、ところが経産省の中に聞いてみると、経産省の中には、この中部電力の管内については、浜岡がなくても何とかやっていけるんじゃないかって試算もあるわけですよ。でもね、これは当然、その、今、僕が言った試算も含めて、国民の前に示して、浜岡を止めるべきかどうかは国民の意思にもう問うべきだと思いますよ、中でごちゃごちゃやってるんじゃなくてね」
山本浩之
「いや、当然そうですね」
青山繁晴
「はい。で、それをその、アメリカは心配してて、もうはっきり言いますとアメリカにそんなこと言われたくないけれども、この件は実は私たちが考えなきゃいけないということなんですね」
要するに、浜岡原発を止めなきゃって話は政府内で持ち上がっていたものの、官邸が「うん」と言わなかったと。
それをようやく菅さんが決断し、発表に至ったという流れでしょうか?
ただ、今回も例によって、関係各所にちゃんと「根回し」をやってからの発表というものではないようです。
まず、地元の静岡県御前崎市の原子力対策室の担当者は、「首相会見を聞いて市役所に飛んできた。寝耳に水だ。事前に(地元には)連絡はまったくなかった」と驚いているそうです(産経5/6 20:10)。
また、政府内でも十分に検討された形跡はなく、支持率低迷に苦しむ政権が反転攻勢のために繰り出した苦肉の策との見方も出ている、といった報道もあります(読売5/6 22:55)。
となると、今回の菅さんの発表って、果たして「浜岡原発がなくてもやっていける」という裏付けや見通しがあってのことなのか、そこがかなり不安になってきます。
何せこれまでの菅政権は、福島第一原発事故の対応にしろ何にしろ、とにかくやることなすこと場当たり的でしたから。
例えば、浜岡原発を止めて電力供給は間に合うのでしょうか?
中部電力によると、2009年度の同電力が有する発電設備の出力は合計で3263万2440キロワット。このうち浜岡原発は350万4000キロワットと10%超に達するそうで、同年度の発電量ベースの割合では、浜岡原発は14%を占めるとのことです(ロイター5/6 21:19)。
この14%という数字はどうなんでしょう?夏場に向けて深刻な電力不足に陥ったりしないのでしょうか?
5月6日放送「報道ステーション」のVTRでは、これを「14%に過ぎない」、つまり浜岡原発を止めても十分賄えるんだ、というような言い方をしてましたが……。
それに加えて、「2009年8月11日に発生した駿河湾沖地震で1カ月間、浜岡原発が停止したが、電力供給に支障はなかった」とも言ってましたが……。
海江田経済産業大臣は同日夜の会見で、「火力発電や揚水発電でも足りない場合は、関西電力からの援助も考えている」とコメントしましたが(日経5/6 19:30)、この発言のみを捉えれば、予め電力不足に陥ることを前提としているようにも聞こえます。
関西電力管轄に住む私としては、日本中が協力して乗り越えていかなければならない局面ですから、関電が援助すること(=私たち関西人も身を切ること)に異を唱える気は全くありませんが、ただ、この中部電力への停止要請が、最初から関電をあてにしたものだとしたら、ちょっと待って下さいよ、と。
というのは、それでなくても関西電力は今、福井県の美浜原発の再起動の問題を抱えています。この4日には、福井県知事から「関西に供給する電力は今夏には半減になる可能性もある」という発言も出ています。
浜岡原発運転停止要請により、浜岡原発の再起動ももう事実上不可能となったのではないかと思うのですが、このあたりもちゃんと考慮してのことでしょうか?
さっきも書いたように、何せこの政権は行き当たりばったりでいい加減ですからね。
真剣に考えた上での、全体図が出来上がった上での停止要請なのか、それとも反原発の声におもねっての、はっきり言えば政局(菅降ろし)を見据えての支持率UP作戦に過ぎないのか。
まだはっきりとは見極めできませんが、現時点ではどうも後者の可能性の方が高い気がしてなりません。
経済への影響が特に心配です。
中部電力管轄といえば名古屋という大都市もありますし、それに国内最大メーカーのトヨタ自動車をはじめ、製造業の一大集積地でもありますから。
東日本大震災で打撃を受けた生産の復旧に向けて頑張ってるのに、ここでまたもし電力が足りないってことになったら、さらに大変な事態に陥りますよね。
ただ、この決断を地元の静岡県の川勝平太知事は「大英断」だと言ってましたね。
ま、地元に、よそと比べてはるかに危険度が高いと言われる原発を抱えているわけで、知事としてはそう言いたくなるのもよく分かります。
あ、もちろん、電量不足による経済停滞や生活面の不安なども同時に述べておられましたが。
これは完全に余談ですが、テレビで川勝知事が「大英断」と言った時にすごく晴々とした顔に見えたので、私は一瞬「もともと反原発(≒サヨク)の人なのかな?」とも思ったんですが、Wikipediaなど見た限りでは、サヨクどころかむしろ保守のようです。
てか、原発に関してイデオロギーが介在してしまう(私のような原発に全く疎い人間でも推進派VS反対派の争いにそういう空気を感じてしまう)のが、そもそもおかしな話なんでしょうが……。
あと、中長期的なことも心配ですよね。
例えば、他の原発の安全対策はどうなってるんでしょう?
浜岡原発が他の原発よりも抜きん出て危険度が高いから止める、という理屈はもちろん分かるのですが、ただ、この地震大国日本では、この先どこで大地震が発生してもおかしくないですよね。
あの阪神・淡路大震災だって、まさかあんな所にあんな大地震が来るとは、ほとんど誰も予想してなかったわけですから。
他の原発の安全面も早急に徹底的に調査して、問題があれば対策をちゃんと講じてもらって、運転を続けても大丈夫なら大丈夫だと、地元住民に対してはもちろん国民全体にちゃんと説明していただかないと。
あるいは、仮に脱原発という道をとるのであれば、日本のエネルギー政策を根本的に変えなければいけなくなりますよね。じゃあ、それに代わるエネルギーはどうするんでしょう?
あと、日本は例えばベトナムに原発を売るって話になってますよね?そういった対外的な面はどうするんでしょう?
少なくとも、(今のところは)問題のない浜岡原発を止めるとなったら、「日本の原発はやっぱり危険なんだ」と、さらに世界に印象づけることになってしまうのでは……。
私は原発推進派でも反対派でもありませんが(原発以外で代替できるならそっちの方がいいと思いますが、安全・コスト・環境面などを秤にかけて現状で原発がベターと言うならやむを得ないのかな?という考え)、どちらの道をとるにしても、日本国の未来を大きく左右することになるのは間違いありません。
政治家はもちろん私たち国民も大いに議論をした上で、少しでも早く結論を導き出さねばなりませんよね。
それにしても、東日本大震災は本当に色んな意味で、日本の大きな転換へのきっかけをもたらしているなと、つくづく感じます。
何十年か後には、「あの震災で日本の運命が大きく変わったよね」といった声がたくさん聞かれるようになっているかもしれません。
願わくば、良い方向に変わっていますように……。
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以下はオマケ。夫が今さっき作った替え歌です。
夫は今回の浜岡原発運転停止要請もまた、菅さんの「延命策」だと見切ったそうです。
それも含め、菅政権への一連の批判を込めて、このような替え歌を作ったそうです。
もと歌は横浜銀蠅の「ツッパリHigh School Rock'n Roll (登校編)」です(歳がばれますね(^^ゞ)。→もと歌の歌詞はこちら。
(行って来まーす)
今日も元気に ド菅をきめたら
防災服きどって オールバック
(与野党で!) ←菅さんの口癖
シミン ウンドウカのセイフ ←市民運動家の政府
ドクサイ インペイのセイフ ←独裁・隠蔽の政府
アリバイ作ったし 延命できたし
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※拙ブログ関連エントリー(青山繁晴さんの原発解説&取材)
・3/17付:青山繁晴「ニュースの見方」菅首相では危機は乗り越えられない(RKBラジオ)
・3/24付:「アンカー」福島第一原発の今後 青山繁晴×住田健二
・3/31付:「アンカー」原発事故で政府のズサン対応 青山繁晴×安斎育郎
・4/7付:「アンカー」原発対応 官邸未だ機能せず&エネルギー政策 青山繁晴×和田武
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・4/21付:「アンカー」アレバ社は信用できない&福島原発周辺で青山が見た現実
・4/28付:「アンカー」福島第1原発構内と所長を青山が取材 最大の問題は5・6号機
・5/5付:「アンカー」原発取材続報 - 政権からの圧力!しかし現場には成果も
【募金受付まとめ】東北地方太平洋沖地震 被災地に手助けを!
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