事件【放射線 正しく怖がるために】(上)“場当たり的”政府説明に募る住民不安+(2/3ページ)(2011.5.7 08:00

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【放射線 正しく怖がるために】
(上)“場当たり的”政府説明に募る住民不安

2011.5.7 08:00 (2/3ページ)

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 「容認したら私の学者生命は終わり。自分の子供をそんな目に遭わせるのはいやだ」。4月29日。東京大の小(こ)佐(さ)古(こ)敏(とし)荘(そう)教授は記者会見を開き、原発事故をめぐる政府の対応を「場当たり的」と批判して内閣官房参与の辞任を表明した。

 小佐古教授は放射線安全学の専門家で国際放射線防護委員会(ICRP)の委員も務めた。菅直人首相が原発事故で助言をもらうために起用した6人の「知恵袋」の1人だ。

 政府は、ICRPが原子力事故の収束段階で適用すべきだとする年間限度量1~20ミリシーベルトの上限を根拠に「年間20ミリシーベルト」の基準を採用。原子力安全委員会の意見もふまえ、児童らが1日8時間を野外で過ごすと仮定し、年間20ミリシーベルトを超えないよう、一定の高さの空間線量が毎時3・8マイクロシーベルト以上の学校で屋外活動を1日1時間程度に制限する通知を4月19日に出した。

 「とんでもなく高い数値。学問上の見地からも、ヒューマニズムからも受け入れ難い」。平時の一般人の年間許容限度は1ミリシーベルト。小佐古教授はその20倍の被(ひ)曝(ばく)線量を放射線の影響を受けやすい子供の基準に据えたことを特に批判した。

 ところが、「20ミリシーベルト」に何の根拠もないかといえば、そうでもない。

 大分県立看護科学大の甲斐倫明教授(放射線保健)は「20ミリシーベルトは安全と危険を分ける基準値ではない。この数値を超えた学校から対応を優先するための現実的な数値ととらえるべきだ」と緊急的措置であることを強調、事故収束後に年間1ミリシーベルトに近づけていけば問題ないとしている。

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