「花と蛇」などの官能小説の第一人者として知られる作家の団鬼六(だん・おにろく、本名・黒岩幸彦=くろいわ・ゆきひこ)さんが6日、胸部食道がんのため死去した。79歳。葬儀は未定。喪主は長男秀行(ひでゆき)さん。
滋賀県生まれ。関西学院大法学部卒。1957年、自身と相場師の父親をモデルにした「親子丼」でオール読物新人杯次席に選ばれ、作家修業に入る。「大穴」など純文学作品を書いていたが、しだいに官能小説を書き始める。
バーの経営や相場に手を出すが、失敗。神奈川県で英語教師を務めたことも。合間にピンク映画の脚本を書いたり、友人の保証人となり借金を背負うなど起伏の多い人生を送る。
63年から8年間、雑誌「奇譚(きたん)クラブ」でSM官能小説の金字塔となった「花と蛇」の連載を続け、人気を博した。映画化もされ、杉本彩さんらが主演した。
将棋界にも精通。自身も相当な腕前で実力はアマ6段クラス。「将棋ジャーナル」社主を務めた。
他に「真剣師小池重明」「最後の浅右衛門」など。近年は高齢者の性を描いた「枯木に花が」などもある。
1年5カ月前に食道がんと判明。手術は拒否し、放射線治療を受けた。今年1月にはラジオ出演し、4月末までは執筆も続けていた。
毎日新聞 2011年5月6日 20時53分(最終更新 5月7日 0時15分)