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電力不安定時代の塩吹きニッケル水素電池復活法のナゾ
リーフはプリウスより本当にエコなのか?のナゾ
プリウス燃費神話のウソホントのナゾ(納車満一歳の冬編)
10年目のADSL契約変更のナゾ(いまさらADSL編)


電力不安定時代の塩吹きニッケル水素電池復活法のナゾ

久しぶりの更新であるが、その間に東北で大震災と大津波があり、原発4機が爆発しクラス7の放射能漏れ事故が起きた。確かに大震災と大津波は天災であり被害を受けた地方の復興を願う毎日であるが、福島第一原発事故は明らかな人災である。

まず同程度の被害を受けた福島第二原発、女川原発は冷温停止に至った。しかし福島第一は発電中であった4炉すべてが爆発した。あきらかに福島第一だけが脆弱であり免責の余地は無い。今回の事故から、電源も冷却装置も失った原発でもベントして圧力を下げながら注水を続けて水位を保てば燃料棒の破損を防げることが多大の犠牲の末に解ったのである。

もちろんベントによりある程度の放射性物質が放出されるが、燃料棒が破損しない限りその線量は限られ、その修理も可能となる。東電が非常用電源車やポンプ車を準備していなかった事、故意にベントを遅らせたの事、オペフロアにある使用済み(新品もあり)燃料プールへの注水を失念した事、水素爆発が危惧されながら建屋の開放を怠ったことなど、どれも初歩的なミスであり犯罪的でもある。

さらに某放射線医学に関係する公的期間は誤った情報を流して線量が高い地方での自主的なヨウ素の摂取をブロックした。彼らは100mSv以下の被爆は一切有害でないとする誤った認識に凝り固まっており、専門家でありながらヨウ素131の妊婦や幼小児の内部被爆の危険性に関する理解を完全に誤っていた。

またチームなんとかと称する一味はヨウ素被爆に関する間違ったつぶやきを日本中に拡散した。このため福島県の線量の高い地方の妊婦や幼小児は安定化ヨウ素を配布されることもなく、自主的にヨウ素を摂取することもできず、避難指示も出されなかった。

すでに飯館村や中通りの諸都市に対する対応についてはIAEAを含め世界中の公的機関から非難されているが、一味は数年後に生じる医学的問題について責任を逃れることはできない

さて、関東地方の電力供給は東電の誤った供給力予想は別にしても十分とは言えないことも確かである。また同じく信用低下により起債ができなくなった全国の電力会社の命運も不透明になった。当然われわれユーザーも自主的に対応しなければいけない。当サイトも現在太陽光発電導入を決定した。

といっても身の回りの非常用ラジオや懐中電灯などの電流源はやはり電池だ。なかでも充電式のニッケル水素電池は現在もっとも家庭に普及した二次電池である。しかし、ニッケル水素電池のサイクル寿命には奇妙な現象が明らかとなっている。

それは、高価な高容量電池、例えばニッケル水素の単三であれば2000mAhを超えるモデルのサイクル寿命が非常に短いことである。一方、サンヨーがしきりに宣伝している低容量の電池はサイクル寿命が長いのである。これって詐欺的ではなかろうか。

そもそも、能力が低下したニッケル水素電池の更生法については、

□Oct. 1:名うての腎虚ニッカド電池更正法のナゾ

かなり暴力的な方法を取り上げた事がある。これについてはその後も研究を続け更生法もブラッシュアップしてきていおり、現時点ではそのメカニズムついても理解が深まっている。

現時点での結論では、高容量電池ほど寿命が短いのは、同じ体積に多くの電極物質を詰め込んだために電解液容量が不足し、早期にドライアップしてしまう、ということである。

またドライアップすると充放電で内部が過熱しガスが発生しますます塩を吹くことにもなる(ソルティング)。

いったん塩を吹くと圧力弁が塩によって閉鎖が不完全となり、さらに電解液を喪失しやすくなり、この負の連鎖で急速に容量を失う、というのがセオリーである。容量を失うと充電で見かけの電圧が上昇しても即座に低下してしまう。

どうやって復活させるのか?

復活には2つのフェーズがある。

1)フェーズ1 +極付近のソルティングを除去し塩が溜まりにくい構造とする。
2)フェーズ2 ソルティングで開きっぱなしとなった安全弁から電解液を導入するとともに安全弁を清掃し機能を回復する

その具体的な方法を公開しよう。まず準備するのは、蒸留水(使用済みの目薬容器に入れておく)、小さなマイナスドライバー一本のみである。今回はダイソーの100円ニッケル水素電池をサンプルとする

フェーズ1

まず+極のでっぱりの周囲にあるプラスティック製のワッカを外す。

これはこの部分に溜まったソルティングを除去するとともに、陰極であるケースと陽極の間のガスケットの清掃状態を観察するためである。またフェーズ2の準備でもある。

この分に塩が付着していると、いくら充電しても塩を経由して放電してしまう。常にこのガスケットが汚染されていないか観察できることが重要だ。

ソルティングしておれば、必ずしも物理的に除去する必要は無く、1時間ほど蒸留水にこの部分を漬ければ溶けて無くなる。具体的にはコップの底に1cmほどの高さまで蒸留水を貯め、電池を上下逆にしてつけておけばよい。その後古歯ブラシで清掃すれば十分である。

このワッカを外す時に、ガスケット部を傷つけないこと、ガスケット部でショートさせないこと、樹脂製の外皮を温存することに注意して欲しい。外皮はガスケット部でのショートを防ぐために必要である。

フェーズ2

通常の充電器(マイナスΔ制御式の急速充電器)で充電する。通常は充電終了に近づくと体温以上の温度に発熱しているはずである。更生には発熱していることが重要で満充電である必要は無い。

電圧が1。3V程度に上昇するはずであるが、これが上昇しない場合は、5Aの5秒間ほどの”喝入れ”を2、3回行い、体温以上の温度まで上昇させる。この動作には危険を伴うので、一回の喝入れは5秒以下とすべきである。

次に電池を垂直にテープなどで固定して立て、+極と外皮の間の陥凹した部分(安全弁の穴がある)に蒸留水を満たし、電池が放熱するまで30分ほど放置する。以前は蒸留水に発熱した電池を投入していたが、今回の方法であれば蒸留水の消費は極少量となり能率が良い。

電池が電解液を喪失すれば内部に気体の部分ができ、気体は発熱によって膨張する。また本来閉鎖しているはずのー極に組み込まれた圧力弁がソルティングによって開いたままとなり隙間ができている。

+極の陥凹した部分に蒸留水を満たしておれば、内部の圧力が低下するに従って蒸留水が内部に吸引され、その途中の安全弁についたソルティングを洗浄する仕掛けである。

おそらく初回の操作ではみるみる蒸留水が吸引され減っていくのが見えるかもことだろう。その場合は蒸留水を適宜補充する必要がある。

数回充放電の度にこの更生法を行えば、不足した電解液に蒸留水で供給されるとともに圧力弁のソルティングも洗浄されていく。つまり蒸留水を吸わなくなり容量もそのころには回復していることになる。

そして内部の電解液が規定量に達するとそれ以上は蒸留水も吸引されず、また安全弁もその頃は本来の密閉性を回復しているという具合である。

ドライアップが激しい電池では喝入れしても電流すら流れないものもあるが、わずかにでも発熱すれば蒸留水を導入することは可能で回復する可能性があるが、長く放電したままだと陰極が腐食し内部が崩壊して膨化し更生できなくなる。

つまりサンプルとしては、まだ新しいのに何ですぐダメになるの?腹が立つ、というような電池がぴったしなのである。

なお蒸留水は放熱するまで30分程度+極の陥凹をみたしておればよく、そこでティッシュなどで清掃すれば良い。長くおくとサビが出る可能性がある。少量のサビは古歯ブラシで清掃できる。

結果

Webmasterは、この手法を、代表的な高容量モデルであった

パナソニック HHR-3XPS 2400mAh
サンヨー HR-3UF(L) 2300mAh
GP 230AAHC 2300mAh

の各8本ずつのサンプルで試した結果、その全てで液晶テレビ2時間動作という本来の容量への更生を確認した。

これらは比較的高価なモデルであったにもかかわらず、2、3ヶ月の使用で実用に耐えないほど劣化した生悪モデルであった。サイクル寿命にして実に数回で著しく劣化するという情けなさであった。同じような腹立たしい経験をした人も多いのではなかろうか。

そこで満充電しようと充電器にかけると塩を吹いてしまう。電解液がドライアップしていると過熱してますます塩を吹くのである。塩を吹くと安全弁が開きっぱなしとなり、さらに塩を吹いて電解液を喪失して寿命となる。

一方、手元にある1300mAh程度の安価なモデルは規定のサイクルに向かって生き延びている。つまり容量とサイクル寿命は反比例するのだ。価格で言えば、高い高容量モデルほど安い低容量モデルよりサイクル寿命が短いという詐欺的な結果なのだ。

そのせいか、最近は各メーカーは高容量モデルよりは低容量モデルに注力している。ひとつには低容量のエネループが成功していることがあるだろう。

webmasterの手元には30年前のサンヨーニッカド電池450mAhがあり、実用的な容量を保っている。サンヨーがエネループとか比較的低容量でサイクル寿命が長い電池をさかんに喧伝しているが、秘密のひとつは少なめの具(電極材料)と多めの汁(電解液)ではないかとWebmastserはにらんでいる。

(注意)電池を一流電機メーカーの充電器で充電するリスクは低いと考えられますが、喝を入れる操作(5A 5秒間)には爆発や電解液の飛散などの危険性が考えられます。当サイトは一切責任を担保しません。

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リーフはプリウスより本当にエコなのか?のナゾ

やっと昨年12月に発売された日産リーフであるが、まだ一度も目撃したことが無い。一月までに納車されたのは予定を下回る国内1000台、米国106台に過ぎず、その多くは地方自治体やレンタカーになったようで、ネットを検索してもユーザーの納車報告は片手にも満たない。電池の生産は予定よりかなり遅れているようだ。

EVで問題になるのは航続距離であろう。ガス欠でもガソリンを補給すればすぐ走れる普通の車と違い、道路上でのEVの充電は簡単ではない。急速充電するには重量2トンの60KWh級発電機を要するので4トン以上のトラックが必要だ。

何より、高速道路でガス欠等で本線上で停車すれば高速自動車国道等運転者遵守事項違反で2点および反則金7000円となることを忘れてはいけない。ガス欠等は予想できない故障とは異なり予想可能という解釈なのである。従って日産やJAFが違法行為である電欠に対し事業として高速道路上で充電を行う事は法律上難しい。

日産のホームページではJC08で200kmの航続距離とされているが、プレスへの配布資料には

  1.北海道の草原地帯を時速60キロメートルでエアコンオフで走行すると航続距離220Km

  2.都心の渋滞が多い道路を真夏にエアコンフル稼働で平均時速10Km程度で走行すると航続距離75km

  3.高速道路走行時は空気抵抗が大きくなり欧州走行モードで平均時速81kmで走行すると航続距離76km

と、予想をかなり下回る。しかもマニュアルバッテリーロングライフモード(容量80%)を推奨、週に一回以上急速充電するときは80%にすること、急速充電は寿命を短縮するので必要最小限とすること、などが書かれている。

ネットで収集した電費は4.1から11km/kwhに渡り、エアコンなどを節約しつつ渋滞で6.5、流れの良いところで8.8だという。航続距離については日帰りの三浦半島旅行で5回充電を要したとの報告がある。

当初の約束の半分以下と後退した性能だが、もう一台車があり毎日決まった道筋で半径50km以内の移動に限れとすれば実用性が無いとまでは言えない。問題は最新のガソリンエコカーと比べて本当にCO2の節約になるのか、またガソリン代が節約になるのか?である。早速試算するしてみよう。

日産はJC08モードで電費1が24wh/km = 8.06km/kwh、電池容量が25kwhでの航続距離を200キロと発表しているが、到底信用できない。というのはJC08モードの走行距離はたった8.2kmに過ぎず、電池残量が減ると出力制限がかかりJC08モードの加速を全うできないので、あくまでも計算上だろう。こういう雑な計算が日産の信用を激しく毀損する事に気づかないのだろうか?

さらにJC08モードの測定ではランプやエアコンなどの電装品がオフなので、実用ではネット報告の中央値である7km/kwhが適当だろう。

CO2負荷から解析

ここで1kwh=3600 x 10^3 J = 857.14x10^3 cal=ガソリン82.41g(10.4Kcal/gとして)= 109.8 ml(比重0.75として)となる。1000ml/109.8mlはほぼ9なので、ガソリン1L当たりの燃費に換算するには電費に9をかければ良く63km/ガソリンLとなる。一見よさそうである。

ただしリーフはゼロエミッションであっても、電気は発電所で火力なり原子力で作るので効率を計算しなければいけない。例えば原発が無いために最も排出の多い沖縄電力の0.931kg-CO2/kwhは、重油の(3tonCO2/kL=3.3kgCO2/kwh)27%の効率にすぎない。

とすれば 63 x 0.27 = 17.1 km/lとなり、プリウスはおろか今時の普通のエコカーより悪いことになる。つまり沖縄などの愚かな自治体がたいした計算もせずリーフを導入しているが、CO2が増える上にエコカーより250万円もコスト高である。どうして預かった税金を無駄使いできるのか理解できない。

Webmasterの地元の電力会社は関西電力に次いで効率が良く、金で買ったCO2排出権利を省くと約56%の効率と計算される。これは原子力発電が多いことによるが、建築費や稼働率、最終処分に金がかかる原子炉の発電コストが火力の1/10と言う前提には疑問が残る。仮にこの数字を信用すると63 x 0.56 = 35km/Lとなり、一見プリウスを超えるように見える。

ただし、リチウム電池の充電効率が90%程度で、また大電流が流れるケーブルとインバーター充電回路の効率を最低でも80%はは見込まむ必要がある。

それはマニュアルに充電中にラジエーターファンが間歇的に回転するので注意するようにとに記載されている。おそらく夏季だろうが幅の広いラジエーターのファンが回ると言うことは水ポンプで賄いきれない発熱が充電中にあるわけで、都市部の深夜にはエコキュートみたいに騒音クレームになるかも知れない。

この場合は35 x 0.90 x 0.80 = 25.2 km/lとなり、プリウスの22.6km/Lから数キロの通勤を除いた数字より悪い。またさらにリーフを製造するにはプリウスとの価格差150万に相当する石油を消費すること。その上に多くの電力会社の効率は地元や関西より悪いことを考えれば、リーフはプリウスより明らかにCO2を多く排出するのである。

もちろんプリウスのガソリン運輸や精製にもコストはかかる。しかし平均燃費3km/Lの10トンローリーが製油基地から平均100キロ運輸するとしても、経由消費は33L(10トンの0.33%)に過ぎない。分留のコスト数%を加えても、発電所と製油所の岸壁で重油をおろす段階からのコストを含めてもリーフの不利は変わらない。

燃料費からの解析

プリウスと同じ月800キロ走るとすると電費7km/kwhから114kw/hの電力を消費する。充電効率、ケーブルと充電回路の効率を前述の通り72%と見積もると、月使用量が300kwhを超える我が家では21.72円/kwhなので、リーフの電気代は(114/0.72)x21.72 =3439円となる。プリウスを22.6km/lとしてガソリンを135円/lとすれば(800/22.6)x135 =4778円なので、プリウスより1329円安いことになる。

さらに深夜電力Bを半分つかうとすると増分、(114kwh/(2x0.72))x21.72円/kwh + 深夜基本料金204.75円+ (114kwh/(2x0.72))x6.72円/kwh)= 2276円となり、プリウスより月2502円安くなる

しかし税金や取得費を無視してリーフ価格376万円ー補助金77万=299万とプリウスS+ナビ約230万を比べるとその差は約70万で、月2502円の節約してもペイするには279ヶ月=23年かかるのでイニシャルコストを燃費で回収するのはは絶望的である。

リーフでは月1500円のサポートプラン加入で日産店での充電が無料、また電欠時は無料でレッカー移動してくれるが、人間はレッカー車には乗れないのでタクシーを呼ぶ必要がある。1500円払えば従量Bではこれを払った時点で赤字、深夜電力併用でも月約1000円の差しかなくなる。

さらにプリウス30の電池が12万円+工賃で過去のデータから10年程度の電池寿命を期待できるが、リーフのリチウム電池は約150万円??+工賃程度と言われており、過去データも無い。距離が進んで電池交換を控えたリーフのリセールバリューはエクストロイドCVT車と同様にマイナスであろう。

それは電池交換に要する150万??でビッツかフィットの高級版の新車が買えるから値が付かないのだ。それに最近のエコカーは満タンで500キロ以上走り、十分エコである上に電欠の恐怖が無い

どんなユーザーに向くのか?

コスト的にリーフは誰にも向かないのは明白だが、唯一挙げるとすれば地方の一家に複数の車がある家庭である。家族が出払った後に主婦が半径50km以内を移動し、電欠でも交通量からブーイングを浴びない路肩に止める余裕があり、車も家族が家まで牽引してくれるとすればサポートプランも不要でプリウスより月1000-2000円の節約になる。

ただし、イニシャルコストが高く航続距離に難のあるリーフを選ぶには強力な動機付けが必要だろう。先進のエコカーに乗りたいという動機があるかもしれないが、まともに計算すればが増CO2である事は直ぐに周知され誰も誉めてくれないだろう。

他に、費用は一切気にせずリーフに誰よりも先に乗って注目を浴びたいとする動機であればコストは関係ない。ただしプリウスも大半の時間はEVとして走っていることを考えると、乏しい差に大枚を払う動機としては弱い。

それより怖いのは家族の目である。長年走行不能な故障が無かった我が家の190Eが、廃車寸前にたった一回燃料ポンプ故障で玄関先50mでエンコし、家族に自宅まで押させた後からプリウスが納車まで、”早くポンコツを処分しろ”、との罵詈雑言を浴びたことを思い出すだけで鳥肌が立つ

もし家族を乗せてエアコンを切り、ノロノロと走り、充電で時間をロスし、さらには電欠をやらかせば”何でビッツやフィットの3倍払って欠陥品を買ったのか?即刻買い換えないさい。あんたが電話しないなら、私が今ディーラーに電話する!!!”と雷が落ちる可能性がある。

女性は故障が少ない国産車のトラブルには外車のトラブルより遥かに厳しい。リーフだと、これはドイツ車だからとかラテン車だから故障して当然とかの言い分けは通用しないし、故障が少なく家族が気に入っていた190Eでもこの扱いである。

さあ、あなたは罵詈雑言に耐えられるだろうか。私は自信が無いし、向こう10年はケンカの度に蒸し返されることも予想される。

家族の怒りは電欠よりも100倍怖いのである。

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プリウス燃費神話のウソホントのナゾ(納車満一歳の冬編)

ディーラーから1年点検のハガキが来た。そう、Webmasterと誕生日が同じ我が家のプリウスも満一歳になるのだ。

プリウスと言えばまず燃費である。1年の走行は約8000キロで新車時からの燃費は22.6km/l、平均速度は28キロと出た。

これまでの23.1kmlから低下している原因は寒波で暖機時間が長くなっているからで、ガソリン補給の度にリセットしているトリップBのグラフがその事情を物語っている。また寒さで遠出が減っているので距離も伸びていない。

プリウスは暖機のためのエンジン稼動が水温が約40度で停止する。しかしヒーターを入れると水温80度程度まで暖機しようとするが、その間は何故かオートモードにもかかわず冷風が出る。従って数キロの短い通勤距離では冷風が出るヒーターを入れるより純毛100%の膝掛けの方がずっと実用的である。

帰りは気温が上昇しているので1キロ足らずで暖機が終了し、朝の暖機とあいまってバッテリーは満タンになっている。従って、帰りは大半の時間はバッテリー走行できるので、写真のように18km/l程度の燃費となる。

当地でも零下となると窓が凍るのでヒーターが効くまで走行できないから行きの燃費は15km/lを割る。しかし帰りはバッテリーが満タンなのでバッテリー走行が長くなり、やはりトータル17km/l以上の燃費となる。

つまり、よっぽどヘンな走り方をしない限り、プリウスは同クラスの車の倍以上は走る.もしあなたのプリウスがそうでなければ運転がエコでない(エコヘタ)なのである。

プリウスの低燃費のキモは何か?

タコメーターを眺めながら走っていると、プリウスがどうやって燃費を稼いでいるかがわかってきた。プリウスは半EVな車だがエネルギーの源はあくまでガソリンエンジンであり、エンジンは部分負荷の燃費が非常に悪い。まず図をみていただきたい。

これは良く見るエンジンのトルク、馬力と回転数のグラフであるが、実は普通の車のエンジンがこの図のトルクを発生していることは殆ど無いという非現実的なグラフでもある。

これは発電機に可能な限り負荷をかけて回転を維持できるのに最適なスロットル開度とした時の最大トルクなのであって、僅かに負荷を増やすとエンジンはガタガタとノッキングして止まってしまう。丁度馬力の少ない軽のトップギアで坂を登りエンジンが止まる寸前がそれに近いが、そういう運転をするドライバーはいないだろう。。

例えばプリウスが時速100キロで走行するのに必要な馬力は約25馬力であり、それは約1500rpmで発生することができる。実際にプリウスは時速100キロでは約1500rpmで巡航している

しかし国産車で100キロ巡航時に回転数が1500rpmと低いのはV8の大排気量車位であり、普通の車では2500rpmは回っている。100キロで1500rpmに設定できない理由は、この回転数では加速できず僅かな起伏や抵抗でエンジンはノッキングし止まるからである。

仮にプリウスの非力エンジンを似た車(オーリス)に積んで100キロで2500rpmのギアリングとすれば、図の青線の馬力に相当し、これは全負荷45馬力の55%程度の部分負荷で使っていることになる。

当然アクセルは戻し気味でスロットルを絞った状態で、スロットル上下の圧力差x空気量のポンピングロスと2500rpmのフリクションロスが発生するので燃費が悪くなる。

一方プリウスはモータートルクが上のせできるので、エンジンが低速高負荷からでも直ちに加速できる。だからプリウスは100キロ巡航で全負荷に近い1500rpmの設定にできる。

もちろん全負荷でもスロットルは全開では無いのでポンピングロスは発生するがアトキンソンサイクルと大容量クールEGRでそれを最小限としているわけだ。

プリウスの高速燃費は空力で稼いでいるのか?

よくプリウスは電池とモーター2個分重いために高速燃費は通常のエンジンの車より悪いのを空力係数0.25で補っているという説があるが、合法的な高速巡航速度に関しては正しくない。エンジンを常に低回転高負荷の状態で使うことができるからだ。

また、トヨタのTHSは高速巡航時にエンジンオフしてモーター走行ができないので燃費が伸びないという説があるがこれも間違いだ。それは現在のHVに搭載されている電池と容量では高速巡航時にエンジンをオフにする理由が無いからである。

図の通りプリウスは100キロ巡航に25ps=約18kwhが必要だ。しかし電池容量は1.3kwhしかなく、フーガハイブリッドもほぼ同じである。実際に使える容量は余裕を見て1kwh程度であろう。

とするとプリウスが100キロをモーターで維持できる時間は1/18hrつまり3分程度であり、実際には高負荷リミッターがかかるから1、2分も無いだろう。つまり、現代の電池テクノロジーでは高速をモーターで走行するのは得策ではなくエンジンを低回転高負荷で使う方が現実的である。

事実23Kwhの電池容量を持つリーフでさえEC高速モード(平均75km/h)の航続距離は75kmに過ぎず、高速では30分毎に充電が必要である。かくも車の高速走行は大量のエネルギーを食うのだ。

ただし、エンジンの最大出力が関係する最高速度に関してはトヨタのTHSに特有な制約がある。ドイツ規格ではプリウスの最高速度(=最高巡航速度)は180キロで、プリウスと同じ前面投影面積と馬力のオーリス1.3Lは175キロである。

オーリスの空力係数は0.3程度、プリウスが0.25なのでプリウスの最高速度は190キロを超えるはずだが、そうでないのはTHSの動作に制約があるからだ。

プリウスのTHSではエンジンはプラネタリーギア、駆動輪と駆動モーターは周囲のリングギア、発電機は中央のサンギアに繋がっている。そしてクラッチが無いがどうやってクラッチオフするのだろうか?

サンギアの発電機の負荷を開放するとサンギアは空回りする。この状態でエンジンがどんなに回転しようがトルクはリングギアに伝わらず車は前進しない。これがクラッチオフに相当する。

次にサンギアの発電機の出力をショートし無限大の負荷を与えるとサンギアは停止する。この場合はエンジンのトルクは全てリングギアに加わる。

実際にはTHSはサンギアの発電機の負荷を調節(PWM)することでエンジントルクを駆動輪と発電機の分配するとともに、エンジンと駆動輪の間の減速比を変化させている。

最高速付近ではエンジンのみの出力で走行するが、電池が満タンになるとサンギアの発電機の出力を吸収できない。つまりサンギアに負荷がかからないと速度が出ないのである。

そこでサンギアの発電機に発電という負荷を与えて回転を遅くし、発電した電力を駆動モーターに供給する。つまりTHSで最高速を出すには、必ずエンジントルクの一部を発電機とモーター経由に分配して駆動輪に伝える必要があるのだ。

プリウスには遊星歯車一段とデフギアしかないのでメカニカルロスは最小だが、発電機とモーター経由するとロスが発生する。そのため最高速で10PS前後のロスが発生すると仮定すれば、最高速がオーリスに比べて空力係数の割に伸びないことが説明できる

もちろん、シボレーボルトのようにサンギアをバンドブレーキで固定すれば、エンジンのトルクの全てをメカニカルに伝達できるが変速機の構造が複雑になる。なにより磨り減るクラッチが無いTSHのシンプルさを損なうので、そうしないのだろう。

もっともプリウス20のアウトバーンで可能な高速巡航が160キロ程度と見劣りしたことに比べれば排気量を拡大したプリウス30は十分な高速巡航速度を持つので、これで良しとしたのだろう。

以上を頭に入れるとプリウスのエンジンをなるべく全負荷に近い状態でON-OFF動作させると燃費が向上することになる。印象としては「電車でGo!」の運転法に近い。

全負荷に相当するのはハイブリッドシステムインジケーターでエコゾーンの最右端でパワーゾーンに入らないポイントとなる。通常の車の流れではこの当たりの出力で間に合うように設定されている。

流れの速い幹線ではパワーゾーンに入らざるを得ないが、短時間なら問題とはならない。 要するに、信号が青になったら流れに沿って巡航速度+アルファに達し、その後はアクセルを戻してモーター走行の巡航に入れば燃費がのである。ノロノロ加速するのは燃費が悪くなる。

過去ロータリー車を2台経験したWebmasterの右足は鉛のようい重いが、それでも190Eの約3倍の燃費となるのは驚異である。過去ガソリンがリッター220円まで高騰した事がるがこの車なら660円でも維持できるだろう。

プリウス製造に要する余計なコストは回収できるか?

プリウスは作るのに余計なエネルギーがかかるからエコで無いという説がある。面白い指摘だがWebmasterは当たらないと思う。確かにプリウスは同クラスの車(プレミオあたり)より一見高い。しかしそのコスト差がどの程度資源を消費するかと言えばそれは価格差分の原油に換算できる。昔だったら米価に換算すべきだろうが現在はオイル本位制である。

ハイブリッドシステムにはいろいろな部品があるが、それぞれのコストは材料を掘り、精製し、輸送し、設計し、開発し、製造するのに必要な原油に換算できる。コストには人件費やプレミアムがあるとの意見もあるだろう。

しかし人間を育てて再生産するにも原油が必要だし、農作物も海産物も道具を作り動かすのにも原油が必要である。プレミアムで儲かる人間も結局はフェラーリなりワインなり豪邸なりを買うわけで、それも最終的には油代に換算できる。

とすれば、つまりはガソリン節約分とコストの差額を比べるという考え方がなりたつ。ところでWebmasterのように年8000キロしか走らないユーザーで投資コストに見合う節約になるのか?

計算では8000キロに要するガソリンは354L、価格は平均133円として47082円となる。これは190Eと比べれば約1/3、プレミオ(carviewの平均燃費12.2km/L)と比べると約1/2となる。プリウスの内装はカローラ以下だが安全装備はクラウン並と単純な比較が難しい。

仮にプレミオで同じ安全装備を積むなら2.0G“SUPERIORパッケージ”+車両安全装置=276万となる。”1.8X”にカーテンバッグにオプション設定が無い車両安定装置やオートエアコン、スマートキーなどを装備すると仮定すると205万程度だろうか。この時点でプリウスLグレードと価格差が無く売れ筋のSグレードと15万の差となる。

15万の差をプリウスとプレミオのガソリン代の差で割ると約3年になる。年間走行が12000キロなら約2年、20000キロなら約1年と、思いのほか短い時間でペイする。プリウスの新しい運転感覚、給油の度に実感する低燃費、そして燃費を気にせず行動範囲が広がること、それに最新の安全装備を持つこと、ガソリンが今後上昇することを考えるとプレミオは比較対象にならない。もっともセダンでなければ、ということならプレミオのHV版を待つかSAIをチョイスすることになる。

プリウスは何かと毀誉褒貶の絶えない車であるが、燃費のテクノロジーは驚嘆に値する。おそらく今プリウスを嫌う人達も数年後はHVやEVに乗ってエコ運転のヘタさを指摘してくれる燃費計と格闘していることだろう。

そういう説教がましいプリウスに100%のドライバーは満足するとは思えないうが、少なくともWebmasterは我慢というよりは、設計者のメッセージを読み取りながら楽しんでいる。

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10年目のADSL契約変更のナゾ(いまさらADSL編)

公私ともに激動の新春を迎えたが、通信環境もまた大きく変化している。

WebmasterがADSLを引いたのは2001年5月で通信業者はcoaraである。coaraは1985年に発足し大分県とNTTとのバックアップを得て1999年暮れにADSLサービスを開始している。東京めたりっく(現・ソフトバンクBB) がADSLを開業したのは2000年なのでcoaraは日本最初のADSLサービス業者なのである。

Webasterは福岡coaraでのADSLサービスが開始されてすぐ加盟し、同時にメルコの無線LANを導入した。当時の無線LAN(11b)はルーターとカード2枚で10万円近かったことを覚えている。

そのためか、家族は10年来パソコンは電源を入れれば携帯電話のようにネットに直接繋がるものと思っており、ADSLや無線LANのインフラの存在は意識すらしていない。

ところでWebmasterは1997年ごろに某所で構内用(NTT未認定)として売られているADSLモデムを目撃したことがあり、

July 1、1997:ADSL(電話回線高速モデム)のナゾ

というトピックを書いている。当時はISDNを擁するNTT中央は商売の邪魔となるADSLに消極的というより否定的であったが、coaraの大分県での実験に関には地方の情報ギャップを埋めるという意味もあり協力的だったという。そして2001年の我が家への導入後すぐ、

June 24:アジアの風ADSLの速度のナゾ

というトピックで紹介してる。モデムはブリッジモデルのWestellB90であり、ルーターの設定は固定、つまり貴重なグローバルアドレスをいただいた。このため、さまざまなサーバーを自宅で立ち上げて実験をやったことを思い出す。

当初の実測値は1Mbps前後だったが、無線LANとの組み合わせはモデムに比べると夢のような環境であった。当時のwindowsのRWINなどの設定が過小であり、ネットの幹線もブロードバンドを前提でなかったため、スループットを改善のためのパラメーターの試行錯誤なるトピックを、

June 31:ブロードバンド最適パラメーターのナゾ

に書いた。パラメーターの改善でだけで契約のフルスピードである1.5Mbpsが出るようになった。その後のある日coara側の機器が更新され、同じモデムでも速度が5.7Mbpsまで向上した話は,

□Nov. 4:ADSL丸儲けのナゾ

に書いた。WestellB90なる米国製モデムはISDNとの干渉を考慮していないAnnex.A規格で、Webmaster近所に少なからぬISDNユーザーがいたにもかかわらず、である。

要するにNTTが言っていた「ISDNが混在する日本ではADSLのスピードが出ない」なる言い訳はウソであった。事実softbankBBも大量にAnnex.Aの怪しげなモデムをバラ撒いたが速度はISDNのノイズよりは距離による損失が支配的であった。

この速度はルーターとの直結で計測したが、無線LAN11bの天井が5Mbps前後なので十分な速度と言える。

NTTは当初ADSLに消極的だったが、ソフトバンクBBが拡販に走るとNTTも方針を変換し拡販に転じる。しかし光回線が普及を迎えると猛然と光化を図っている。

個人的には光化によって、”あなたが電話を引いたときの債権(設備協力費)は光化で無効になりました”と納得させるためではないかと疑っている。

しかし不幸なことに2010年暮れにcoaraからインフラをフレッツADSLに変更して欲しいとの連絡が来た。おそらく光化が進み独自モデムを局内に収容するコストが出なくなったのであろう。ただしIPはグローバルではなくPPPoEとなるのでサービスとしては格下げになる。

そこで一気に光化することも考えが、個建ではインセンティブがあっても月の料金が高いので結局は出費増となる。パケ使い放題の携帯電話が一家に5台もある時代に無駄な出費ではないか?

Webmasterは各所で光回線の速度を計測した事があるが、有名サイトであっても数メガbps程度の速度しか出ていなかった。新品パソコンでも設定不良やウイルスソフトのため10Mbps出ない場合も多い。また10Mbps以上を要求するVODサービスも自宅の回線で支障はなかった。従って銅線にこだわるwebmasterがADSLの8Mbpsを選択したのは当然である。

なにより光化で電話債権(設備負担金)がチャラなる雰囲気がキライだ。

そして新春に届いたモデムはルーターモードに設定されており、光電話を前提とした中国製であるが、光電話ポートには一個しか電話機がつながらない(電流制限のためか)点は疑問である。

電源がシリーズ型なのはノイズ対策だろうか。電話線と電脳機器やLANケーブルなどのノイズ源が近いと速度が出ないので、これらの配置はかなり重要である。どの程度ノイズが乗っているかはAMラジオを近づけるとすぐわかる。

モデムが届く前にcoaraから来たのはPPPoEのIDとパスワードが書かれた紙切れ一枚と不親切であった。古参ユーザーが多いcoaraなのでこれで十分、解らなければ電話で聞け、という考えなのだろう。

しかし今時、個建では無線LANが常識で、自宅からも無線ルーターが8個も見えていて、いくつかは暗号すら設定されていないのが実情だ。設置にはモデムをルーターとし無線ルーターをブリッジとする方法、またはモデムをブリッジとして無線ルーターはそのまま使う2種類の考え方がある。

無線ルーターは2、3年前に売れ筋の製品に更新されていたので、まさかフレッツPPPoEの握手に失敗することは無いであろうし、無線LANの子機の設定が面倒なので、今まで通りモデムをブリッジとした。ただし変更方法は説明書にはなくCD-ROMにあるので、初心者は途方に暮れるのでは無いか

実際にはルーターをPPPoEの設定とし、モデムを差し替えただけでトラブルなく開通し、メールサーバーの設定変更は不要であった。Tracertでみても自宅と局間のインフラが変わっただけである。

短期間のネット途絶に依存症の家族からの文句は無かった。今時、携帯があるので自宅のネットが1日不通でもたいした問題ではないのだ。有線電話もかかってくるのはセールスばかりだ。

肝心の速度は最高6Mbps弱、平均4-5Mbps程度と大きな変化は無い。今時の光のお家に比べると一桁低い数字だが、10年も5Mbpsで生活していると速度なんか水道のようにどうでも良くなるのだ。むしろ速度より安定していること、また35年前に投じた設備負担金のご利益がいまだに生きているという実感?のほうが余程ハッピーに感じられる。

現時点でもやはりインフラの速度よりはネットの混雑状況の方が実用速度には支配的である。ただ回線が距離1.5キロなのに損失37dBと90年代の新設地下埋設としては悪い(NTTのサボタージュか?)のにはあきれるばかりだが、損失に見合った速度なのでこれ以上の努力は無駄である。

そもそも諸外国より我が国のADSLの速度が出ない理由は、NTTがいうようにISDNとの干渉のせいではない。世界で最高の品質の電線と光ファイバーを生産している日本で、つい最近まで開発途上国でも使わない性能の低い紙コヨリ絶縁の電線を使いつづけたNTTの怠慢のせいなのである。

ところでPPPoEで不安なのがロケフリ(SlingBox)である。これは遠方からセットトップボックスをリモコン視聴できるスグレ物であるが、アドレス固定でないと自宅のSlingBoxが見つからない可能性がある。

これもSlingBoxの遠隔視聴セットアップを再度行う事で可能となった。シカケはSkypeと同じでuPnPを用いてルーターのポートを開放し、専用サーバーに変動するIPをレポートしている。ハードが安っぽいSlingBoxだが、世界中で普及しているだけに設定やソフトウェアは優秀である。

これで全ての更新は終了したのだが問題が2つある。最初は、最高速度がcoaraインフラだった時より数%遅いことである。原因はAnnexC仕様であること、PPPoEのMTUが1454と小さいなどのオーバーヘッドのせいだろう。

もうひとつの問題はADSLがあと何年続くか?である。かつてWbmasterは光や無線ブロードバンドが普及してもADSLはしぶとく生き残るであろうと書いたが、どうやらそうなる様子である。

インターネット総研の資料(2010年3月によるとシェアはADSLが30.4%、光が56.0%、CATVが13.6%であり、ADSLのシェアは970万件から13年3月末には570万件にまで減少すると予想されているが、減少は2009年あたりから穏やかになっている。

これは都市部の集合住宅で急速に光化がすすんだものの、設備費がかかる郡部の個建てへの普及が遅れているからである。現在の工事料金では郡部でのファイバー工事がペイしないからだと思われる。

またスマートフォンの普及も関係しているだろう。スマートフォンには無線ルーター化できるものがあり、家にブロードバンドを引く必要が無くなる。いずれにせよ、ADSLが無くなるまで10年はかかりそうでだが、銅線フェチのWebmasterであっても安価で光化されるならADSLにしがみつく必要は無い。

NTTは2025年までに銅線に依存したサービスを全廃すると言う。とするとNTTがADSLの巻き取りを決意した時点が終焉の時期と思われる。しかしNTTの収益は子会社ドコモに依存しており、その経営状況はスマートフォンの動向で変わりうる。

また無線ブロードバンドの普及や経済事情によってADSL終焉のシナリオはどうにでも変わり得ると思う。銅線がなくならないのは電子化された現代でも紙が無くならないのと同じなのだろう。

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