福島原発事故が深刻化するなか、民主党は浜岡原発の全面停止要請という菅直人首相の決定をおおむね歓迎している。ただ党内には参院比例代表で原発推進の電力総連の組織内候補もいれば、原発に慎重な議員もいて反応は複雑だ。
首相に近い政務三役の一人は「財界は猛反発するが、国民は支持する。やっと市民運動出身政治家の本領を発揮した」と評価。静岡県選出の渡辺周国民運動委員長(静岡6区)も「県民の関心は、津波と浜岡原発への懸念と恐怖だ。いったん停止して安全確認をするのが地元のコンセンサスだ」と評価したが、「地元自治体は原発関連の補助金に財源を頼っており、財政的な配慮が必要だ」とも指摘した。
野党の反応も一様ではない。自民党の石破茂政調会長は毎日新聞の取材に「政府の判断は重く受け止める必要があるが、どういう理由で判断に至ったのかを政府は説明する責任がある」と指摘。公明党の山口那津男代表も「中部電力や静岡県などに根回しした形跡は見受けられず、唐突さがぬぐえない。将来のエネルギー政策の展望を示さず、国民の協力で乗り越えられるというのでは不安だけが残る」と述べ、首相の対応を批判した。
一方、共産党の市田忠義書記局長は「世論に押されて停止したのは一歩前進だ。全国的な原発の廃炉を目指して国民運動を起こしていきたい」、社民党の福島瑞穂党首も「首相の決断を歓迎する。『脱原発』の未来を切り開く大きな一歩となるはずだ」と評価した。
与党時代から政府の原子力政策を批判してきた自民党の河野太郎衆院議員は、自身のブログで「残りの原発に関してもきちんとしたストレステストをすべきだ。自民党としても、今回の政府の要請を評価し、後押しをしなければならない」と述べた。
毎日新聞 2011年5月6日 22時02分(最終更新 5月6日 23時08分)