(cache) 【Kalafina】2011/4/15 音楽の「魔法(マギア)」が会場の心を一つに繋いだ! 感動の「Kalafina LIVE Spring TOUR 2011“Magia”」ツアーファイナルレポート! – OH

【Kalafina】2011/4/15 音楽の「魔法(マギア)」が会場の心を一つに繋いだ! 感動の「Kalafina LIVE Spring TOUR 2011“Magia”」ツアーファイナルレポート!

5月6日 17:22

独自の世界観を持つサウンドで、数々のアニメ・ゲーム作品に彩りを添えるコンポーザー・梶浦由記。彼女が全面的にプロデュースを手掛けるヴォーカルユニット・Kalafina
幻想的な梶浦サウンドに乗せて紡がれるWakana、Keiko、Hikaruの3人の歌姫によるハーモニーを生かした楽曲は、劇場版『空の境界』シリーズなど様々な作品の主題歌・挿入歌として使用され、いずれも高い人気を誇っている。
そんな三人は、2月16日にアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』のEDテーマ『Magia』が収録されたニューシングルをリリース。それを受けてのライブツアー「Kalafina LIVE Spring TOUR 2011 “Magia”」を3月27日からスタートさせた。
大阪公演を皮切りにHikaruの故郷である富山、そして名古屋と3カ所でのライブを成功させてきたKalafinaは、4月15日に東京・NHKホールにて最終公演に臨んだ。

今回のライブツアーは、去る3月11日に発生した東日本大震災直後のスタートであり、メンバー自身様々な想いを込めたツアーだったことだろう。
ようやくツアーファイナルにたどり着いたKalafinaの三人は、ライブ開始前に、
「私たちが歌うことで、会場や被災地の皆さんが少しでも元気になって、一日も早く元の生活に戻るきっかけの一つになれたら嬉しいです」
とこの日のライブに込めた思いを会場にアナウンスし、観客もその真摯な言葉に温かな拍手で応えた。
早くも会場の心が一つになり、ライブは幕を開けた。

■「音楽」という魔法がNHKホールを揺らす

会場にミステリアスなインストが流れ始めると、ステージ前面に張られた紗幕に魔法陣が投影され縦横無尽に動き回る。
まるでこれから始まる魔法のような時間を予感させるような演出に、観客のテンションも急上昇。静かに、だが確実にNHKホールの中に熱気が充満し始める。
ディストーションのかかったソリッドなギターが響き渡り、ツアータイトルにもなっているファーストナンバー『Magia』がスタートした。
イントロが始まると同時に紗幕は上がり、ステージ上のステップにKalafinaが登場する。
天井から吊るされた深紅の布がはためき、ズンズンとトライバルなフレーズを刻むドラムロールが響き渡る中、ブルーのワンポイントをあしらった黒いドレスを翻しつつ力強く呪術的なコーラスを響かせる三人に、観客は圧倒された様子で見入っている。
この曲でメインヴォーカルを務めるHikaruは鋭い眼差しで真正面を見据え、両サイドのKeikoとWakanaは、まるで魔法をかけるかのような手の振り付けと一糸乱れぬコーラスワークで楽曲を盛り上げる。
このツアーでより深めた結束を証明するかのように息の合ったパフォーマンスを見せる三人は、

~闇さえ砕く力で 微笑む君に会いたい~

という、生命力にあふれたポジティブなメッセージを歌詞に乗せて熱唱した。
引き続き歌ったのは、寂寥感たっぷりのバラードソング『serenato』。そして、妖しげなストリングスの旋律が『Magia』の世界観と通ずるような『闇の唄』の2曲。
ライブ冒頭だからといってハイテンションな楽曲を並べるのではなく、観客の意表を突くような異世界感たっぷりのラインナップが彼女たちらしい。まるでファンタジー映画の導入部のごとく、壮大な世界観を感じさせるオープニングに会場からは盛大な拍手が巻き起こった。

熱烈なファンの歓迎にメンバーも感無量といった様子で、Hikaruに至っては何度も「すごい!」と繰り返すばかり。感激のあまり言葉にならないようだ。
ここでメンバーを代表してWakanaが「今日は音楽のMagia(ラテン語で「魔法」という意味)を楽しんでください」と、ライブの開始を改めて宣言した。

■『空の境界』の世界観を音楽で再現するライブ前半

MCを挟んでライブは再開。
まずは昨年9月にリリースした8thシングル『輝く空の静寂には』(アニメ『黒執事II』劇中歌)で、ピアノとストリングスをバックにしっとりと歌声を聴かせた。続いて、彼女たちと切っては離せない劇場版『空の境界』の主題歌ゾーンに突入していった。
まずはデビュー曲にして自身の出世作『oblivious』(劇場版『空の境界 第一章 俯瞰風景』主題歌)を披露。
リズミカルな四つ打ちビートに合わせて、刻々と色が変わる鮮やかなスポットライトに照らされた三人は、おそらくもっとも歌い込んできたであろう代表曲を歌い上げる。
この一曲で会場のテンションはさらに上昇。その盛り上がりを示すように、ノンストップでスタートした『sprinter』(劇場版『空の境界 第五章 矛盾螺旋』主題歌)ではイントロから盛大な手拍子が客席より起きる。そして3人の歌姫が
~君に会いたい 君が恋しい~
の歌詞とともにフロアに向けて指を指すと、オーディエンスもそれに応えてステージに手を伸ばす。まるでファンとKalafinaが手と手を取り合うかのような、感動的な一幕が繰り広げられた。
次いで演奏されたのは、劇場版『空の境界 第六章 忘却録音』で使用されたインスト曲『from“when the fairytale ends”』 だ。
まるで童話の世界に迷い込んでしまったかのようなリリカルなサウンドが展開したかと思うと、同作の主題歌『fairytale』がスタート。これは『空の境界』ファンには嬉しいサプライズといえる。
ここから無垢な白いワンピースに衣装を変更したKalafinaは、まるで森をさまよう少女のような演技を交えつつ幻想的なナンバーを披露するのだった。

深い森を抜けたKalafinaは、ピチカート気味なヴォーカルが優雅なイメージを漂わせる小品『intermezzo』。そして壮大なバラードソング『red moon』を、タイトルを彷彿とさせる真っ赤なライティングの中で歌い上げた。
輝く空の静寂には』から『red moon』までMCを挟まず、ノンストップで歌い切った三人。まるで夜明け前から夜更けまでの情景の移り変わりを音楽で表現したようなドラマチックな展開に、観客もひときわ大きな拍手で応えた。

■アッパーチューンがノンストップで押し寄せる!

Hikaruのほのぼのしたトークによるバンドメンバー紹介が行われ、一息ついたところでライブは後半戦に突入した。
ここからはアッパーチューンがノンストップで繰り広げられる、いわばパワフルゾーンだ。
「ここからはハードだよ」
そう不敵に言ってのけたKeikoに、会場からも「待ってました!」とばかりにひときわ大きな歓声が上がる。
そんなやり取りを受けて、まずはインドの楽器シタールの音が印象的な『テトテトメトメ』がスタートした。
ベリーダンスのような振り付けをセクシーに踊ってみせたかと思うと、楽曲後半では拳を振り回してオーディエンスを煽る三人。この勢いに乗って、さらにライブはドライブ感を増していく。
エレクトロなイントロで始まり、たたみかけるような勢いのバンド演奏と高揚感あふれるメロディラインが印象的なキラーチューン『love come down』。デジタルビートがうねる中で展開するKeikoによる重厚なAメロ、ドラマチックなメロをHikaruが伸びやかなヴォーカルで聴かせるサビ、そしてまるで宗教音楽のように荘厳なコーラスでアウトロを盛り上げるWakanaと、三者三様の見せ場で激しく会場を煽りまくる『fantasia』。
そして、タイトル通りコンスタントに刻まれる8ビートのグルーヴに乗りながら攻撃的なサウンドとヴォーカルが展開する『progressive』では、Keikoは全身を使って激しく舞い踊り、Hikaruが満面の笑顔でさらに艶っぽく力強い歌声を響かせ、Wakanaのヴォーカルはますます透明度を増していく。
ライブ前半はバラード曲中心なこともあり、着席したままじっくりと音楽を聴き入るファンが多かったように見えたが、『テトテトメトメ』を口火にどこまでも上がり続けるライブのテンションに、いつしか観客席は総立ち。誰もが拳を振り上げ、ステージ上のアーティストと一緒に歌い踊り始めていた。
ダンスフロアと化した会場を目の当たりにしたKalafinaも、クライマックスに向けて最後の力を振り絞る。ノリのいいダンスビートとディストーション気味な轟音ギターのコラボが陶酔感もたらす『Kyrie』。
そしてパワフルゾーンのフィナーレに、その名もズバリな『音楽』を披露。
3人の歌姫は、アッパーなバンド・サウンドとサイケデリックな色彩のコーラスワークが融合した躍動感あふれる『音楽』の中で、
~魂の中にある一条の光を信じて叫びたい(中略)それが僕の音楽~
と、高らかに歌い上げた。

休む間もなく6曲を駆け抜けたKalafinaは、ライブ本編のラストにシングル『Magia』の初回生産限定盤と通常盤のカップリング曲『snow falling』(劇場版『空の境界』終章カヴァーソング)と、まだCD音源化されていない新曲『symphonia』(NHK『歴史秘話ヒストリア』ED)のフルバージョンを歌った。
この2曲は、今回のライブのために用意された新アレンジ・バージョンで披露され、ピアノ伴奏のみとなった『snow falling』は、原曲よりもさらに静かに、かつ三人のコーラスワークの美しさが強調された仕上がりに。
さらに、ステージの上からゆったりと粉雪のように紙吹雪が舞い落ち始め、まさに「春の雪」とでもいうようなロマンチックな情景の中、三人は雪と遊ぶように両手を広げ空を仰ぎ見る。
そして原曲はストリングス中心のクラシカルなアレンジである『symphonia』は、雄大さと力強さを感じるバンド・アレンジとなっており、ライブ本編のフィナーレにふさわしい感動的なクライマックスを演出した。

Kalafinaからの音楽のメッセージに思わず涙、そして拍手

まるで一本の映画を見終えたかのような充足感と感動が覚めやらぬ中、アンコールに呼ばれて再登場したKalafina
ツアーTシャツに着替えて身軽になった三人は、オーディエンスの温かな手拍子に包まれながら、崇高な愛を歌うアッパーチューン『adore』。そして傷つきながらも前に進んでいこうという思いをそっと歌う『傷跡』を披露した。
彼女たちの真っ直ぐなメッセージに会場が再び感動的な空気になったところで、Kalafinaライブ恒例のHikaruによるグッズ紹介コーナーがスタートした。
メンバーからも「優しい押し売り」と評されるHikaruの巧みなセールストークに、観客のみならずメンバーも(特にKeikoが)大ウケ。ラスト直前のちょっとしたブレイクタイムとなった。
また、ここでKeikoの口から今回のツアーの収益金とグッズ売り上げ全てを、東日本大震災被害者のために日本赤十字社へ義援金として寄付されることが発表され、最後に『I have a dream』(劇場版アニメ『イヴの時間』主題歌)、『光の旋律』(アニメ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』OP)が被災地、そして日本の復興への願いを込めつつ披露された。
希望と優しさに満ちた2曲を心をこめて歌うKalafinaの歌声に合わせて、観客も温かな手拍子で楽曲に参加する。
ステージ上と観客席が完璧に一体となったままライブが終焉を迎えた時、自然に巻き起こったスタンディングオベーションが会場全体を包み込む。
「音楽というMagia(魔法)」が、ここに完成した。

バンドメンバーを送り出しステージに残ったKalafinaの三人は、最後に感謝のコメントを大勢のファンに告げた。
みな思い思いの感謝の言葉を口にする中で、Wakanaは感極って言葉が継げなくなってしまう一幕も見られた。

だが、それでも伝えたい思い、歌うことで少しでも誰かのためになるのなら、という気持ちから見事ツアーをやり遂げた彼女たちは、大きな感動と感謝の気持ちでいっぱいの様子。
それはもちろん会場に集ったオーディエンスも同様のはずだ。
「応援してくれてありがとう」
「歌ってくれてありがとう」
そんな両者の気持ちがここでも一つに繋がったように見えた、温かなラストであった。

(文中敬称略)
(Photo=毛利智晴)(有田シュン、OH編集部)

曲名の右にある「mora win」をクリックすると楽曲が購入できます。

「Kalafina LIVE Spring TOUR 2011“Magia”」 in NHKホール(4/15)
曲順 曲名 iTunes mora win
1 Magia ──── mora win
2 serenato ──── mora win
3 闇の唄 ──── mora win
4 輝く空の静寂には ──── mora win
5 oblivious ──── mora win
6 sprinter ──── mora win
7 from“when the fairytale ends” ──── ─────
8 fairytale ──── mora win
9 intermezzo ──── mora win
10 red moon ──── mora win
11 テトテトメトメ ──── mora win
12 love come down ──── mora win
13 fantasia ──── mora win
14 progressive ──── mora win
15 Kyrie ──── mora win
16 音楽 ──── mora win
17 snow falling ──── mora win
18 symphonia ──── mora win
EN1 adore ──── mora win
EN2 傷跡 ──── mora win
EN3 I have a dream ──── mora win
EN4 光の旋律 ──── mora win

1 2

タグ:





プレゼンター