【社説】鉄道公社社長も冷や汗をかいたKTX

 韓国鉄道公社の許准栄(ホ・ジュンヨン)社長が、本紙とのインタビューで「先月初め、KTX(韓国高速鉄道)に乗っていたところ、大田駅の近くで突然停止した。周りの乗客に申し訳なく、穴があったら入りたい心境だった」と語った。幸いにも信号待ちのためだったことが分かったが「私が実際に(走行中の停止を)経験してみて、(事故につながるのではないかと)不安になった」と話した。

 KTXは、今年2月11日に発生した光明駅での脱線事故のほか、今年に入り大小の事故やトラブルを17回起こした。総延長20.3キロの金井トンネルの中で立ち往生したり、漢江鉄橋の上で止まったこともある。鉄道公社は先月13日、こうした事態を受け、KTXの整備を飛行機並みに厳格に行うという対策を打ち出したが、その6日後にはまた、車両故障のため乗客を別の列車に移動させるという事態が発生した。

 KTXは最大900人の乗客を乗せ、1日に200本以上運行されている。光明駅で脱線事故を起こしたときは、時速を80キロ以下まで落としていたため、幸いにも大きな被害はなかったが、時速300キロで走行中に事故が発生すれば、一体どんな事態になるのか、想像するだけでも恐ろしくなる。

 KTXの故障率は、2009年には0.04%(運行回数5万7519回のうち23回)だったが、昨年は0.09%(同5万9087回のうち53件)に上昇した。これについて鉄道公社は、昨年3月から導入したKTX山川(サンチョン)=韓国で開発された新型車両=の運行システムが不安定なためで、時間がたてば解決する、と説明している。だが乗客にとっては、小規模な事故がたびたび起こることで、いつか大事故が起こるのではないかと、不安なことこの上ないだろう。事故やトラブルが繰り返されるということは、組織のどこかにねじの緩みがあるか、あるいは疲労が蓄積していることを意味する。労組では、許社長が就任して以降、人員を約5000人も削減し、維持管理や補修などの業務を外部に委託するなど、コストの削減による経営の効率化を最優先としているため、このような事態が起こったと主張している。労組の主張が全て正しいとはいえないが、見直すべきこともあるのではないだろうか。

 鉄道公社は、KTXの定時運行率が99.8%に達し、フランス(79.0%)やイタリア(90.3%)を抜いて世界一になった、と自慢してきた。だが、2005年に日本のJR福知山線で発生した脱線事故(死者107人)は、運転士が1分30秒の遅れをばん回するため、速度を落とさずカーブに進入したことが原因だった。鉄道公社は、小さな事故やトラブルが度重なっていることを、決して軽く見てはいけない。世界的に見て、大きな事故の前には必ず小さな事故やトラブルが発生し、警告を発していたということを肝に銘じなければならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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