日本の食文化を支えるマグロ、マグロの消費大国である日本にとってマグロはなくてはならない重要な水産資源のひとつと言っても過言ではありません。しかしながら昨今の日本食ブーム、世界的マグロの需要の増加と乱獲によるマグロ資源の減少、減船や漁獲高制限、資源管理の厳格化により国内価格は上昇し深刻な問題となっております。このようなマグロを取り巻く厳しい情勢の中、日本国内においても産地の後継者問題や、マグロの市場外流通によって、市場内流通におけるマグロの減少が起きており、世界に誇れる島国日本のマグロ魚食文化が失われつつあります。 今後、日本の伝統的な産業、マグロ水産業の衰退を防ぎ、活性化し、尚且つ発展成長させて行くためには、マグロを適正な価格で流通させることが重要であり、そのためには流通過程において、トレーサビリティーの徹底、中間業者の中抜き、産地と消費地とをダイレクトに結ぶ独自のシステムを確立し、産直だから安いのではなく、産直だからこそ確かな品質といわれる体制作りが必要だと考えています。 私達は、自らがマグロ魚食文化の果たす役割について少しでも多くの方々にご理解いただくために、２００５年度から様々なイベントでマグロの解体ショーを行い、１本のマグロを豪快にさばきながら、正しいマグロの知識を身に付けてもらえるよう、口上を交え、さばきたてを食してもらい、産地の重要性や市場の必要性を伝えて参りました。また、日本のマグロ魚食文化を世界に発信するために、マグロ解体師認定制度を設け、水産業界、飲食業界に係わらず、やる気のある全ての人に、専門知識、技能をもった使い手になっていただきたいと、食育、魚食普及、また地域ブランドの強化とPR、また、昨今、社会問題化している諸問題の解決を図るとともに、生産・流通から消費まで正しいマグロの理解と消費を促進するために、マグロ解体ショーの催しや、セミナー、公演を通じてマグロのすばらしさを伝え、産地、流通業者、各行政機関との連携体制の中で、社会に貢献していきたいと考えています。

一般社団法人全国鮪解体師協会

理事長　木村　英喜