2011年5月6日15時16分
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東日本大震災の影響で授業開始が延期されていた東北大(仙台市)の学生たちが、ボランティア団体を立ち上げて被災地で活躍している。登録者数は1千人を超えた。引っ越しを早め、入学前に駆けつけた新入生たちもいる。
東京出身の理学部1年、寺岡夕里(ゆり)さん(18)は3月11日、母親と仙台市内にいた。東北大の後期試験が翌日に迫っていた。震災で試験は中止になり、山形、新潟経由で東京に帰った。センター試験の結果で合格が決まったが、入学式は延期された。
大学のホームページを見ていて、在学生たちが3月末に立ち上げたボランティア団体「東北大学地域復興プロジェクトHARU」を知った。「行かなきゃ」と思い、引っ越しを早めて4月25日から宮城県石巻市での活動に加わった。
避難所の風呂は女性ボランティアが不足していたため、「番台役」も引き受けた。他にも小中学生に得意の英語を教えたり、障害児の施設で手伝いをしたり、計8日間を被災地で過ごした。入学後も、授業と両立させながら長く関わっていくつもりで、「皆さんと一緒にこれからの東北を考えていきたい」と意気込む。
東北大の学生は約1万8千人だが、在学生4人でスタートした「HARU」の登録者は1千人を超えた。すでに新入生も20人。代表の環境科学研究科博士課程1年の鈴木杏奈さん(24)は「東北大だからこそ、地域の輪に入り込んで人と接し、ここでしかなれない人材を育てられる活動をしたい」と話す。(見市紀世子)
30分間。地震が起きてからの行動が、人々の命運を分けた。小学校で、避難所で、役場で――。生き延びた人たちの証言を、記録として残したい。