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 西岡武夫参院議長と言えば、以前から菅首相を公然と批判している民主党の重鎮である。だが西岡氏も、まさかそれで朝日新聞の記者と大ゲンカになるとは思っていなかっただろう。

朝日「議長の発言は、総理がお辞めになったほうがいいという趣旨か?」

西岡「いまの状態を続けたらどうにもならない」

 やり取りは、4月14日の記者会見でのもの。冒頭で西岡議長は、「第一次補正予算のことで、(首相は)野党には相談しているのに、参院には相談がない」「政府はこの1ヵ月、何をやっていたのか」などと、菅政権に「退陣」を要求していた。

 すると、なぜかこれに執拗に噛み付いたのが朝日新聞の記者である。

朝日「総理大臣が辞めると、政治空白ができる」

西岡「そうかしら?」

朝日「被災者がまだ、仮設住宅にも入っていない」

西岡「は?」

朝日「原発の状況もあり、政治空白を作るのは・・・」

西岡「作らないで済むんです。作らない方法がある」

朝日「私が言いたいのは、議長の発言は無責任なんじゃないかということです」

西岡「なんでですか。私は、今のように政府がモタモタしてるんだったら、お辞めになるしかないと申し上げているんですよ」

 会見には当然、他社の記者も参加している。だが、両者は他の報道陣そっちのけで、延々と大ゲンカを続けたのである。

西岡「朝日さんは『(菅首相に)辞めろ』と言うのは無責任だと言いますが、じゃあ今の無責任(政府)のまま、続けていいと?」

朝日「無用な政治的混乱を生むよりは、そっちのほうがマシだと思います」

西岡「ああそう。へー。私はそうは思いませんね」

 朝日記者の主張は、「次の政権の具体像も示さないで、ただ『辞めろ』と言うのは無責任」というもの。あまりに粘る朝日記者に、西岡氏も「菅内閣のスポークスマンみたい」と訝(いぶか)しがる始末だった。

 最後は勇ましく、朝日記者が「これ以上やっても意味がない」と、自分のほうから会見を打ち切るようにして、バトル終了。菅首相にしてみれば、意外なところに珍応援団がいたものだ。

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