今回、食中毒の原因となった「O111」は、およそ180種類あるとされる病原性大腸菌の1つで、仲間には「O157」や「O26」などがあり、感染すると、下痢やおう吐など、どれも似たような症状を引き起こします。しかし、国立感染症研究所によりますと、O157に感染した人が死亡した例はありますが、O111で死亡が報告されたのは、先月の6歳の男の子が初めてだということです。
病原性大腸菌は牛などの家畜の腸内やヒトの便などに含まれる毒性の強い細菌で、この菌に汚染された食品や水を口にしたり、菌が付着した物に触れたりすることで感染します。国立感染症研究所によりますと、国内では病原性大腸菌に年間およそ3000人から4000人が感染しています。このうち0歳から4歳までの乳幼児がもっとも多く、その原因のほとんどは、病原性大腸菌O157で、O111については、平成19年に宮崎県の保育園で集団感染が報告されるなど、毎年、感染例はあるものの、死亡したという報告はありませんでした。国立感染症研究所の岡部信彦感染症情報センター長は「これまで死亡した例がなくても、生肉を食べれば、もともと大きなリスクがあるということを十分認識する必要がある。特に子どもや高齢者は症状が重くなることもあるため、レバーやユッケなどの生肉は口にしないでほしい。今後、感染が広がる可能性もあり、どの時点で大腸菌が付着したのかなど感染経路を早急に調べる必要がある」と話しています。