幽霊都市と化した再開発地区「ルワンシティ」(中)

 現在、この地域では100棟以上のビルや6000軒以上のマンション、ヴィラなどの住宅が、長いもので1年以上にわたり放置されている。佳亭洞のハナアパートに住むキムさん(35)は「夜9時になると周囲は暗黒地帯になる。怖くて外出したこともない」「以前は住みやすい地域だったのに、今では廃墟になってしまった」と語る。

「金の卵」から「廃墟」へ

 この事業は、04年に安相洙(アン・サンス)前仁川市長が150階建ての仁川タワー建設と同時に推進した「仁川グランド開発計画」の目玉となるプロジェクトだった。住商複合の高級マンション1万1000戸以上の建設、77階建てのランドマークタワー、地下3階の大型交通センター、ショッピングモールなどの建設も計画に含まれていた。安前市長は「ソウル市江南区道谷洞にあるタワーパレスにも匹敵する、超高層のマンモスビルをいくつも建設したい」などと豪語していた。

 当初、事業は順調にみえた。安前市長は巨額の事業費を調達するため、06年に当時の住宅公社を引き込んだ。住宅公社も規模の拡大に力を入れていたため、韓行秀(ハン・ヘンス)社長(当時)は数兆ウォン(1兆ウォン=約743億円)規模のこの事業を一手に引き受けた。同年ルワンシティは都市開発区域に指定され、08年6月には土地などの補償も始まった。住宅公社は1兆6300億ウォン(約1200億円)以上を投じ、昨年末には補償を全て終えた。

 ところがリーマンショックの影響で、08年末から国内の不動産景気が一気に落ち込み、それまで「金の卵」と考えられていたルワンシティは、一瞬にして「頭痛の種」に転落した。LHは昨年3月「このままでは事業性が見いだせないため、最低でも8000億ウォン(約590億円)の損失が予想される」とし、事業を中断する意向を示した。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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