「WBA世界バンタム級タイトルマッチ」(7日、大阪府立体育会館)
調印式が5日、大阪市内のホテルで行われ、挑戦者ダニエル・ディアス(ニカラグア)と初対面した王者・亀田興毅(亀田)が約5年ぶりにメンチを切った。調印式後の記念撮影時に、鼻先がぶつかるほどに顔面を接近させて48秒間、メンチを切り続けた。地元大阪での初の世界戦に気合十分の“浪速の闘拳”がメンチ切りを復活させ、ボルテージは最高潮に達した。
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闘拳が5年ぶりに牙をむいた。調印式後の写真撮影時だった。最初は互いに正面を向いてファイティングポーズをとっていたが、いきなり興毅がディアスの方に向き直りメンチを切った。約8センチ身長の高いディアスを見上げるように、鼻先がくっつくぐらいに顔面を寄せ、48秒間にらみ続けた。
興毅のメンチ切りにディアスも応戦。興毅を見下ろす形で鋭い視線を送った。一触即発の状態にたまりかねた関係者が「もういいだろ」と声をかけ、日本ボクシングコミッション(JBC)の職員が興毅を抱えるようにして引き離した。興奮状態の興毅はそれでもディアスに向かっていこうとし、離れ際にスペイン語で侮辱的な捨てゼリフを吐いた。
世界戦でのメンチ切りは、初挑戦の06年8月のランダエタ(ベネズエラ)戦以来となる。これ以降は自粛してきたが、地元大阪での初の世界戦ということもあり、ボルテージが一気に上がった。「ディアスは俺のデコを見とった。ロッキーとドラゴみたいやな。気持ちで絶対に負けたくなかったし、気合が入ってるよ」と鼻息を荒らげた。
リング上でも気合十分でKOを狙いにいく。東日本大震災の被災者への気持ちを込めて、試合で使用するグローブの表面に「届け!大阪の力」のメッセージをプリント。「瞬間だけでも笑顔、明るくなってくれればいいと思う。俺が一方的に打ってバチバチにいったる。KOして終わりやな。最高の興行にしたい」。久々のメンチ切りに加えて“亀田節”も復活。世界戦初のKO勝利で凱旋試合を飾る。
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