2011年3月15日 19時38分 更新:3月16日 7時5分
与野党は15日、幹事長・国対委員長会談を開き、東日本大震災の復興のための補正予算編成で、11年度予算案の子ども手当や高速道路無料化を見直して財源を確保する方向性で一致した。ただ、与党は11年度予算案をいったん成立させた後に予算の一部を削って震災対策に充てる考えなのに対し、野党は予算案採決前の抜本的な修正を要求。与野党の調整には課題も残っている。
民主党の岡田克也幹事長は会談で「大きな災害のため(予算の)見直しは大胆にやる」と表明した。子ども手当について「被災地対策に充てたり、もっと大胆なこともありえる」と震災対策への充当に前向きな考えを示したほか、高速道路無料化についても「被災地では高速道路の補修が必要だ。(無料化と)どちらを優先すべきか議論になる」と踏み込んだ。
一方、自民党は谷垣禎一総裁が15日の記者会見で、11年度予算案の財源を確保する特例公債法案について「参院採決の時点で修正に協力し、結論を得る」と歩み寄りのサインを発した。脇雅史参院国対委員長も「予算の組み替えに同意してもらえたら、特例公債法案を可決する場面はある」と語った。野党側にも復興に全力を挙げるため、特例公債法案にかたくなに反対できない雰囲気が広がる。
ただ、与野党の主張には隔たりがある。自民党は子ども手当と高速道路無料化に、農家への戸別所得補償、高校無償化を加えた四つの政策を凍結したうえで、10、11年度の予備費も足して約5兆円の財源を捻出し、当面の緊急復興対策に充てるよう求めている。公明党も「大幅に見直し災害復旧にあてる姿勢が必要だ」(山口那津男代表)としている。
これに対し、民主党は全面凍結に慎重だ。また、民主党は11年度予算案と特例公債法案を成立させた後に、11年度予算を見直して財源を確保したい考え。野党は法案採決前の大幅修正の確約を要求しており、なお歩み寄りが必要だ。
一方、与野党は15日、「各党・政府震災対策合同会議」の設置を決めた。福島第1原発での放射能漏れ事故など深刻な事態を踏まえ、与野党が情報を共有して対策に当たるのが目的で、16日に初会合を開く。【中田卓二、野口武則】