2011年3月14日 21時1分 更新:3月14日 22時18分
東日本大震災の発生後、初の本格的取引となった14日の東京株式市場は、日経平均株価の終値が前週末比633円94銭安の9620円49銭と大幅続落し、リーマン・ショック時の08年10月以来、約2年5カ月ぶりの下げ幅を記録した。終値が1万円の大台を割ったのは約3カ月ぶり。市場では、震災による日本経済への打撃が深刻化・長期化するとの懸念が拡大している。
株式市場は、取引開始直後からほぼ売り一色の展開となった。震災被害や電力供給不足による企業の業績悪化懸念が強まったうえ、福島第1原発の爆発事故もあり、東京電力のほか、JR東日本や原発メーカーの東芝、日立製作所などがストップ安をつけた。
14日の外国為替市場では、円相場が一時、約4カ月ぶりの円高・ドル安水準となる1ドル=80円60銭近くまで急伸した。震災を受け、国内の企業や金融機関が手元資金を厚くするため、海外に投資した資金を円に替えて回収する動きが広がった。日銀の即日オペを受けて円はやや反落し、午後5時時点は前週末比69銭円高・ドル安の1ドル=82円9~10銭だったが、その後の海外市場では81円台に円高が進んだ。
市場で不安が拡大しているのは、「踊り場」から抜け出しつつあった景気が一気に悪化しかねないためだ。実質成長率はエコカー補助金終了の影響などで昨年10~12月期に5四半期ぶりのマイナス成長に陥ったが、新興国向けの輸出にけん引され、今年1~3月期はプラスに転じることが確実視されている。だが、野村証券金融経済研究所の木内登英経済調査部長は「震災被害に加え、電力供給不足も考慮すると、4~6月期の成長率は1.0~1.5ポイント押し下げられ、踊り場脱却が遅ければ10~12月期までずれ込む」と予測。クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストも「11年度の実質成長率が0.5~1.0ポイント下押しされる可能性は否定できない」と指摘し、市場では悲観論が強まりつつある。
大和総研の成瀬順也投資調査部長は「企業の生産停止や物流への影響が拡大すれば、日経平均は9000円前後まで下がる可能性がある」と指摘。電力供給不足などが長期化すれば、市場心理が一段と冷え込みかねない。【田所柳子、和田憲二】