2011年3月14日 19時56分 更新:3月15日 0時26分
東京都知事選に出馬を表明していた松沢成文・神奈川県知事(52)が14日、石原慎太郎都知事(78)の都庁での出馬会見に同席して出馬取りやめを発表した。「石原氏と泥沼の知事選をするのは、自分が掲げる『首都圏連合』の理念にもとる」と説明した。石原氏は予想される多選・高齢批判について「政治的混乱の中で万一、間違った行政が行われてはいけない」と述べた。【石川隆宣、真野森作、田村彰子】
会見には上田清司・埼玉県知事が同席。上田知事は「首都圏の知事同士で連携してきた両者の激突は、首都圏のためにならない」と話し、間に入って松沢氏の出馬辞退を働き掛けたことを明かした。石原氏は松沢氏が掲げた首都圏の広域連携強化や受動喫煙防止条例制定などの公約を自身も訴えるという。
松沢氏は「石原氏は出馬しない」を前提にして1日に出馬表明した。松沢氏は「石原氏から2月に(後継の)話があり『君しかいない』と言われ、決断した」と説明した。石原氏は「さまざまな調査で(松沢氏の当選は)難しいだろうとなった。政局が混迷し国が衰退する中、東京を失うわけにいかず、苦渋の決断をした」と述べた。
民主党都連幹部は、一時、支援することに前向きな意見もあった松沢氏が石原氏に協力することに「残る選択肢は少ない。自主投票の可能性も否定しない」と声を落とした。共産党政策委員長の小池晃氏(50)は「松沢氏は石原都政の継承を掲げていたので、石原氏の出馬で大義がなくなったのでは。都民をバカにするなと言いたい」と話した。居酒屋チェーン、ワタミ創業者の渡辺美樹氏(51)は「出馬表明後に出馬辞退という政治は私には理解できません」とコメントした。
前宮崎県知事の東国原英夫氏(53)の支援者は、石原氏の出馬により不出馬を含めて再検討していることを明かした。発明家のドクター・中松氏(82)=本名・中松義郎=も出馬を表明している。
松沢氏が都知事選への出馬を取りやめたことに対し、地元の川崎市では、松沢氏への不信感をにじませる声が相次いだ。川崎市多摩区の女性会社員(48)は「この時期に発表するのも(震災で目立たないようにという)自己保身に思える。県民のことも、都民のことも考えていない」と大震災の最中の決断を批判した。【川端智子】