2011年3月14日 19時46分 更新:3月14日 23時34分
首都圏のスーパーやコンビニエンスストア、ガソリンスタンドで東日本大震災発生後、食料品や日用品、ガソリンなどの品薄や売り切れが続出している。工場の被災や物流網の混乱による原材料の調達難などに加え、被災地向けの供給を優先していることなどが元々の原因とみられるが、東京電力の計画停電に備えた買いだめが拍車をかけている。今後、停電で工場などの操業停止も予想され品薄感はしばらく続きそうだが、消費者庁などは消費者に冷静な行動を呼びかけている。【井出晋平、小倉祥徳、谷多由】
◆スーパー
「せっかく来たのに買う物がない」。東京都武蔵野市のスーパーを訪れた40代の主婦は、そう肩を落とした。このスーパーは東電の仕分けで停電予定とされた時間には停電しなかったものの、午前10時すぎの開店と同時に客が殺到。水の販売は2リットルペットボトル1人6本に制限されたが、すぐに売り切れ。米や即席めんも昼前には売り切れた。
イトーヨーカ堂では、首都圏を中心に即席めんや缶詰などの保存食、懐中電灯など日用品の品薄状態が続き、一部商品は品切れする店も出始めているという。イオンは、被災地の東北地方への生活必需品の供給を最優先していることもあり、一部商品で品薄状態になっている模様だ。生鮮品以外の食料品は、東海地区からの配送を強化しており、「極力首都圏での供給を十分にしたい」(広報担当)という。
コンビニの首都圏店舗でも、弁当やおにぎり、水、即席めんなどの品切れが続出。セブン-イレブンは、首都圏店舗の主要入荷先の東北地区の弁当やおにぎり工場からの入荷が滞っている。西日本からの供給を増やすなど物流体制の見直しを進めているが、正常化の見通しは立っていない。ローソンも、首都圏に弁当などを供給している千葉工場(千葉県船橋市)が被災して操業を停止中。頼みの西日本の工場も被災地への支援物資の出荷を優先している。商品を広範囲に行き渡らせるためパンなど一部商品は店舗からの注文に数量制限をかけており、「品薄感は続く」という。
今後、計画停電が本格的に実施されると生産工場の操業停止、物流施設の機能停止も予想され、生産能力がさらに下がる可能性もある。ローソンも、首都圏に弁当などの工場が6カ所程度あり、停電で生産が止まる可能性があるという。
供給不足への不安に加えて、停電に備えた消費者の買いだめが品薄感にさらに拍車をかけている。都内のスーパーを2回訪れたという主婦(46)は「人が並んでいたのであおられるように買い物をした。明日以降、手に入らないかもしれないと思った」と話す。
食料品だけでなく、ガソリンや軽油の不足も深刻化。石油元売り大手の製油所は関東地方に8カ所あるが、半数が操業を停止し供給不足であるうえ、一般ドライバーの買いだめも目立ち、一部のガソリンスタンドでは、備蓄切れするケースも出始めている模様だ。
元売り最大手のJX日鉱日石エネルギーは西日本などからの供給も検討しているが、「被災地の供給不足が深刻なうえ、救急・消防車両などを優先している」(広報担当)状態で、首都圏の供給不足解消のめどは立っていない。石油連盟は「不要不急のガソリン買いだめは控えてほしい」と話している。【井出晋平、小倉祥徳、谷多由】