東日本大震災:「停電」生活を直撃 百貨店、休業相次ぐ

2011年3月14日 13時50分

 東京電力が14日から計画停電の実施を発表したことを受け、百貨店は店舗を急きょ休業、工場は操業を止めるなど混乱が続いた。

 三越伊勢丹ホールディングスは14日、傘下の三越千葉店、伊勢丹立川店など6店舗を、全面休業。伊勢丹新宿店と三越日本橋、三越銀座店は開店時間を1時間遅らせ、午前11時からとする。交通機関の乱れで従業員が出勤できないため。そごう・西武は、停電対象地域の14店舗を当初は停電予定時間とその前後のみ休業する方針だったが、従業員の出勤が遅れており、3店舗を終日休業、残りを部分営業に方針転換した。小田急百貨店は、新宿など全3店舗を休業した。

 計画停電で第1グループ(14日午前6時20分~同10時)の実施地域にあたったマクドナルド吉祥寺南口店(東京都武蔵野市吉祥寺南町1)は、「停電のため午前5時~午前10時半まで営業を一時中断します」と紙を張り出し、営業を休止。店員は、「停電中止は直前に知った。開店準備を始めたがアルバイト店員が出勤できるか……」と困惑。近くのコンビニの店長も「停電中止でほっとしているが、連絡が混乱している。冷蔵庫などはテープや布で目張りして対応するがレジが打てなくなるので困る」と不安げな表情を浮かべた。

 停電地域に100店舗超あるイオンは、大型店は停電予定時刻の約1時間前、小型店は約30分前に閉店し、停電終了後に営業再開する方針。本社(千葉市美浜区)も停電予定区域だが、「非常用電源で業務を続ける」という。イトーヨーカ堂、ダイエーも停電時間中は営業を休止する。

 セブン-イレブンは、店舗の非常用電源でレジが作動するため、停電中でも昼間は営業を継続する方針。停電地域に約3000店を展開するファミリーマート、ローソンも停電時間中も昼間は営業を継続する。夜間については、「周辺状況などをみて店舗の判断に任せる」(ファミリーマート)という。

 牛丼チェーンの吉野家ホールディングスとゼンショーは、停電中は営業を中止する方針。自家発電設備のある店舗はないが、「停電時間中は氷を使用するなどして食品の安全に万全を期す」(ゼンショー)としている。【井出晋平、小倉祥徳、谷多由】

 ◇工業も操業停止に

 交通機関が一部運休していることからソニーは午前7時半、東京都内に出勤する社員に、無理せず、可能な時間に出勤するよう一斉メールで連絡した。君津製鉄所(千葉県君津市)を抱える新日本製鉄には自家発電設備があるものの、停電した場合、一部の設備が稼働しなくなる可能性があり、他の製鉄所などでの代替生産で対応することを検討中。

 NECは、PCサーバーの開発を行う府中事業場(東京都府中市)、電子部品の開発などを行う相模原事業場(相模原市)を終日休業し、通信機器を開発する玉川事業場(川崎市中原区)を午後から、我孫子事業場(千葉県我孫子市)は午後3時から休業する。三菱電機は鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)の終日休業を決め、情報技術総合研究所(同)は、従業員の自宅待機を通達した。

 東芝は、電力事業を行う府中事業所(東京都府中市)や航空管制システムなどを生産する小向工場(川崎市幸区)など、社会インフラ事業の拠点については停電時間は操業をとりやめる。テレビの開発を行う深谷工場(埼玉県深谷市)、パソコンの開発を行う青梅事業所(東京都青梅市)などは終日休業する方針だ。

 自動車各社は震災の影響で、元々、工場の操業停止を決めていたが、復旧後の操業について「停電の時間を避け、時間をずらして稼働するしかない」(富士重工業)と不安が広がっている。【米川直己、弘田恭子、浜中慎哉】

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