東証:1万円割れ 下げ幅、一時600円近くに

2011年3月14日 11時48分 更新:3月14日 13時43分

 東日本大震災は週明け14日の東京金融市場を激しく動揺させた。被害拡大や福島原発の事故を受けて日本経済の先行き懸念が強まり、日経平均株価は一時、3カ月半ぶりに1万円の大台を割り込んだ。一方、外国為替市場では「復旧資金の調達で日本企業が海外資産を売って、円に替える」との思惑から、円相場が一時、約4カ月ぶりの円高・ドル安水準となる1ドル=80円台半ばまで上昇した。

 株式市場では、生産停止など大震災の影響がトヨタ自動車など国内の大手製造業全般に及んでいることから、企業業績への影響を懸念する投資家の売り注文が取引開始直後から拡大。日経平均の下げ幅は一時、600円近くに達した。午前の終値は、日経平均が前週末終値比464円88銭安の9789円55銭。全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)が同53.58ポイント安の861.93。

 製造業のほか、港湾や空港などのインフラ寸断の影響が深刻な造船、空運、海運なども大きく下落した。市場は「被害の全容が不透明で、リスク回避のための現金化や損失回避目的の売りが先行している」(みずほ証券の瀬川剛エクイティストラテジスト)と見ており、一段の株安進行も予想される状況だ。

 一方、外国為替市場では、国内拠点の復旧に向けて、輸出企業の円資金調達の動きが広がるとの見方から、朝方は円が買われ、円相場は早朝に一時、1ドル=80円台まで急上昇した。その後、日銀が過去最大の大規模資金供給に踏み切ったことを受けて、円は急速に売り戻され、1ドル=82円台前半まで急落する場面もあった。

 市場では、円高基調は根強いとの見方がある一方、「海外投資家が日本投資を敬遠し、資産を売れば、円安に動く」(アナリスト)との観測も交錯。不安定な相場展開も予想される。

 一方、14日の東京債券市場では、安全資産とされる債券を買う動きが強まった。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは一時、前週末比0.07ポイント低下し、年1.200%を付けた。1月末以来の低水準。【田所柳子、清水憲司】

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