2011年3月14日 11時26分 更新:3月14日 13時19分
東日本大震災の被災地では14日も、被災者の救出作業が続いている。毎日新聞のまとめでは、14日正午現在、死者は2900人超に上り、行方不明は2万人。東京電力福島第1原発3号機では午前11時ごろ、1号機と同様の水素爆発が発生し、11人がけがをした。東京電力が実施すると発表していた計画停電は、供給能力が想定より増えたことや需要が低く抑えられたなどの理由で、午後0時半現在実施されていない。ただ、東電の説明が途中で変更されるなど、対応は混乱している。
東京電力は、東日本大震災で停止する発電所が相次ぎ、電力の供給能力が需要を大きく下回るとして、管内1都8県を5グループに分け、14日早朝から3時間ごとに順次、電力供給を停止する計画を公表していた。
当初は、14日午前6時20分から第1グループに区分された地域への送電を打ち切り、停電させる計画だった。しかし、午前6時過ぎに「電力需要が2623万キロワットで供給能力の3100万キロワットまでは余裕がある」として、実施を見送ると発表。その後、徐々に需要が伸び、供給能力を上回る恐れが出てきたため、「実施する可能性もある」と説明を変更したが、結局午前10時の終了予定時刻まで実施しなかった。
第2グループについても、停電開始予定時間である午前9時20分過ぎに東電は急きょ会見し、「電力供給に余力があり、安定供給し得る状況にある」として、ひとまず停電を見送る方針を公表。午前10時45分現在、実施していない。午後0時20分開始予定の第3グループの停電についても、見送る方向で検討している。
東電によると、14日の電力需要は、事業所や工場が業務を再開するため、地震発生後の週末に比べて400万キロワット増の最大4100万キロワット。これに対し、供給能力は約76%の3100万キロワットにとどまり、1000万キロワット規模で不足する見込みだった。ただ、揚水発電所が稼働し、供給能力が3300万キロワットに増えたという。揚水発電は、夜間電力を使って下流の水を上部のダムに引き上げて電源に使う。
東電は今後、東京都内や千葉県の火力発電所のうち、地震被害が軽微な400万キロワット分を1週間程度で復旧させ、停電規模を縮小する。ただ、それ以外の発電所の運転再開には時間がかかり、4月末まで計画停電が続く可能性がある。
また、冷房利用が増える夏場の需要を6000万キロワット以上と見込んでいるが、能力は4800万キロワット程度しか確保できない可能性が濃厚で、今回と同規模の計画停電が夏場にも実施される可能性がある。
計画停電の予定を受け、首都圏の16鉄道事業者は14日の始発までに計116路線のダイヤを組み直した。首都圏ラッシュ時の利用客は約267万人だが、運行されるのは山手線や中央線(東京-立川)、東京メトロなど東京23区内と多摩地域の一部で、都心へ向かう路線は基本的に運休。運行されても本数は通常の半分以下になる見込みで、国土交通省は通常の2~3割の輸送力しか確保できないと見ている。