地方【東日本大震災】「津波なんて大っ嫌い」 両親のいないこどもの日+(2/2ページ)(2011.5.4 22:47

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【東日本大震災】
「津波なんて大っ嫌い」 両親のいないこどもの日

2011.5.4 22:47 (2/2ページ)
避難所のそばで一人で遊ぶ及川晴翔君=4日午後、岩手県陸前高田市(彦野公太朗撮影)

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避難所のそばで一人で遊ぶ及川晴翔君=4日午後、岩手県陸前高田市(彦野公太朗撮影)

 「私らがいなくなったら、この子たちはどうなるんだろうって、よく不安になります…」。消え入るような、か細い声で五百子さんが話す。五百子さんによると、2人は母親との再会を今でも信じているという。

 「津波なんて大っ嫌い。父ちゃんに買ってもらったDSもスパイクもみんな流してしまうんだもん」。ボールを蹴るようなしぐさをしながら、佳紀君がふくれっ面で話した。

 4月20日。2人が通う高田小でも新学期が始まり、それぞれ新しい友達ができた。それから1週間後、「父ちゃん」の遺体が見つかった。

 人前では涙を見せなかった佳紀君もその夜は布団にもぐり、シクシク泣いた。「あの子たちは、ふだんは悲しいとか辛いとか表情に出さないからね。昼間は忘れていても夜に思い出すのかもしれない」。同じ避難所で暮らす女性(68)は気遣った。

 5月4日、避難所を訪ねると、晴翔君の姿があった。佳紀君は朝から親類と一緒に盛岡市まで買い物に出掛け、乗り物酔いをする晴翔君はおばあちゃんと留守番をしていた。「ガム買って来てと頼んだよ」。

 現在、17人が暮らす避難所に同世代の子はいない。この日も一人でボールを蹴って遊んだ。

 「父ちゃん、手術したら治ると思ったけど、命がぶっ壊れてたんだって」。気丈に話す晴翔君には「兄ちゃん」と同じ夢がある。

 「どんな津波でもみんなを守ってくれる、でっかい堤防をつくるんだ」

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避難所のそばで一人で遊ぶ及川晴翔君=4日午後、岩手県陸前高田市(彦野公太朗撮影)

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