- [PR]
[地方]ニュース
【東日本大震災】「津波なんて大っ嫌い」 両親のいないこどもの日
2011.5.4 22:47
(1/2ページ)
あの日がなかったら、家族で楽しい休日を過ごすはずだった。岩手県陸前高田市の避難所で祖母と暮らす及川佳紀君(9)と弟の晴翔(はると)君(7)は、東日本大震災で父親を亡くし、母親とも連絡が途絶えた。「津波なんて大っ嫌い」。家族の絆も家も、父親からもらった大切な宝物もすべて失った。決して癒えることのない心の傷を抱えたまま、両親のいない「こどもの日」を迎える。(白岩賢太、中井美樹)
「差し入れ届いたよー」。市内で最も高台にある希望ケ丘病院の避難所に佳紀君の大きな声が響く。レトルト食品や生鮮品、缶ジュースなどが詰め込まれた重い段ボール箱を大人に混じって室内に運び込む。
小さな両手でせっせと救援物資を仕分けする兄を横目に、畳の上では雑魚寝しながらポケモンの絵を描く晴翔君の姿があった。「ハル、きょうのはうまぐ書けてんなー」。共同生活する男性(33)に頭をくしゃっとなでられ、照れ笑いを浮かべた。
佳紀君が率先してお手伝いするには訳がある。「みんなの役に立っていれば、いつか必ず迎えに来てくれるから」
トラック運転手の父、徳久さん(39)と介護福祉士の母、昇子さん(39)はあの日、仕事を終えて帰宅した直後、津波に襲われた。それ以来、兄弟は祖母の村上五百子(いおこ)さん(67)と3人で暮らす。
一緒に避難した祖父は無事だったが、その後持病が悪化し、別の施設で入院。五百子さんは孫の世話と夫の看病で避難所と施設を毎日行き来しており、最近は疲れからか、笑顔もあまりみせなくなった。
このニュースの写真
関連ニュース
- [PR]
- [PR]