見ちゃイヤ〜ン…気象庁HP「放射能予報」苦情殺到のワケ

2011.04.07

 福島原発事故で世界中が気にしている放射性物質の拡散予測。これまでドイツやノルウェーなど海外の気象関連部局が公表してきたが、慎重だった日本政府も国民からの批判を浴びてやっと5日夜から気象庁ホームページ(HP)で公表に踏み切った。だが、お目当ての予測ページを探すのは至難の業で、「どこで掲載しているのか」と不満が殺到するトホホぶりとなった。

 気象庁は原発事故以来、国際原子力機関(IAEA)に放射性物質の拡散予測を報告していたが、公表は控えていた。枝野幸男官房長官が4日の会見で「隠すべき情報ではなかった」と陳謝したことで公表を始めた。その報道を受けて多くの人が気象庁のHPにアクセスしたが、「どこに載っているのか教えて欲しい!」とネット掲示板などに書き込みが相次ぐ事態となった。

 というのも、HPのトップページから、お目当てのページにリンクが張られておらず、“放射性物質”や“拡散予測”といった、普通の市民がキーワードとするような単語すら掲載されていなかったからだ。

 たどり着くには、なんと「気象等の知識」という、全然関連性のなさそうなタブをクリックし、さらに「気象業務の国際協力と世界への貢献」をクリックして現れるページの下部に記載されている、「環境緊急対応(EER)地区特別気象センター(RSMC)業務及び提供資料」というリンクをクリックする必要があった。このような“深層公開”では、予備知識なしで探し当てるのは無理だ。しかも、そこで見られるのは、ドイツ気象局のようなカラーで見やすい図ではなくモノクロのコピー写真。しかも一部を除いて英語という不親切ぶりだ。

 ネットの掲示板には「分からなかったから気象庁に電話して聞いたけど、それでも分かりづらかった」と不満を訴える書き込みもあった。

 そもそも気象庁は、公表した予測の基礎となる放射性物質の放出量は実態を反映していないといい、「国内の防災対策に適切なデータではない」と説明してきた。要は、あまり国民に知らせたくないようだが、これでは“お役所仕事”の典型だ。

 気象庁は7日、ようやくトップページからダイレクトに拡散予測の資料を見られるリンクを張ったが、「国際原子力機関(IAEA)に提供した予測情報について」と、難しい言い回しはそのままだ。

 ただこれでも、国内の正式な拡散予測と位置付けられていながら、3月23日に予測結果を一度公表しただけの、文部科学省の「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」にくらべると、まだましか。

 

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