ビンラディン容疑者殺害 アメリカ軍による殺害作戦の詳細などが明らかに
ウサマ・ビンラディン容疑者が潜伏していた邸宅内部の様子や、アメリカ軍による殺害作戦の詳細が明らかになってきた。
険しい表情で1点を見つめるオバマ大統領に、口元を手で覆うクリントン国務長官。
ホワイトハウスの幹部たちが、ウサマ・ビンラディン容疑者殺害作戦の様子を見守る写真が公開された。
作戦の成功がわかった時には、安堵(あんど)のため息が漏れたという。
オバマ大統領は、普段は敵対する野党の議員からも称賛された。
オバマ大統領が2日、「アメリカ市民の皆さん、ご存じの通り、アメリカの作戦遂行により、ウサマ・ビンラディンの殺害という結果を出すことができました」と述べると、大きな拍手がわき起こった。
一方、ビンラディン容疑者が潜伏していた隠れ家と、殺害作戦の詳細が明らかになった。
パキスタンの首都イスラマバードからほど近い町、アボタバード。
そこに、周囲の建物のおよそ8倍もの広さがある、ほぼ三角形の敷地がある。
ビンラディン容疑者は、高さ3〜5.4メートルの塀に囲まれた豪邸に、家族と潜伏していた。
庭には、子どものおもちゃがあり、猫の姿も見られた。
塀の上に張りめぐらされた有刺鉄線。
建物には8つの部屋があり、1階の部屋には、母親のベッドと子ども用ベッド。その前に血痕があった。
2階のビンラディン容疑者の寝室とみられる部屋には、クイーンサイズのベッドがあり、大量の血痕が残されていた。
クローゼットには、子ども用の服があり、棚には薬も並べられていた。
アメリカの大統領補佐官は「わたしの見解では、女性が人間の盾だった。ビンラディンを殺害できるチャンスの時、女性が盾として使われる場所にいた」と述べた。
一方、パキスタン・クエッタでは2日、ビンラディン容疑者の殺害に抗議する集会が行われた。
集会参加者は「世界に、こう言いたい。ビンラディンの殉教によって、聖戦が終わったわけではない。どのメンバーも、ビンラディンみたいになる。そして、アメリカと異教徒の世界の脅威となるだろう」と話した。
「パキスタンのタリバン運動」は、報復テロを宣言した。
今回の作戦には、アメリカ海軍最強といわれる特殊部隊「SEALs(シールズ)」と、さらにはCIA(中央情報局)の要員も加わって、20〜25人程度の部隊によって行われたという。
人数が絞り込まれているのは、機密保持と短時間で作戦を遂行するという目的があったもよう。
さらに、ビンラディン容疑者が潜伏する建物を、まずはヘリで急襲。
アメリカ軍によると、そのうちの1機は計器が故障し、着陸に失敗したもようで、機密保持のために、その場で爆破された。
作戦自体は、40分間で遂行された。
ビンラディン容疑者の遺体は、アボタバードから国境を越えて、アフガニスタンのジャララバードのアメリカ軍基地に運ばれ、ここでDNA鑑定などが行われた。
さらに、アラビア海に停泊していた空母「カールビンソン」に運ばれ、水葬されたという。
水葬にあたっては、アメリカ軍のイスラム教の兵士が、ある程度の儀式を執り行ったとみられる。
(05/03 16:54)