2011年5月5日23時0分
香川県まんのう町の山あいにある美霞洞(みかど)温泉は、震災から約1週間後に白濁が濃くなった。ぬめりも強くなり、硫黄が増えたという。阪神大震災(95年)後も同じ現象が起きたという。大震災の震源とは約800キロ離れているが、同温泉支配人の石村英二さん(59)は「巨大地震で地殻変動があったのではないか」と話す。
地下水の変化を調べている産業技術総合研究所(茨城県つくば市)によると、東海や近畿などに約50カ所ある観測点の多くで地下水位が下がった。数メートル変化した地点もある。担当者は「地下水は地震の揺れと地殻変動によって変化する。水位が大幅に下がれば温泉が出なくなることも考えられる」と話している。
全国の約1500団体が加盟する日本温泉協会(東京)には大震災後、こうした湯量の急な増減や濁りなどの報告が寄せられた。協会は今後、温泉地での影響について全国調査する方針だ。(船越紘)