2011年3月11日 20時9分 更新:3月12日 7時28分
菅直人首相は11日夜、東北沖大地震で緊急停止した東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の冷却機能が十分に働かなくなる恐れがあると判断し、原子力災害対策特別措置法に基づき原子力緊急事態宣言を発令した。この宣言が出されたのは、00年の同法施行後初めて。国は同日午後9時23分、同原発から半径3キロ以内の住民に避難を、半径3~10キロの住民に屋内待機の指示を出した。放射能漏れは確認されていないが、原発の耐震対策の見直しが求められるのは必至だ。
政府は宣言発令とともに原子力安全対策本部(本部長・菅首相)を設置。経済産業省原子力安全・保安院によると、同原発2号機の原子炉の水位は通常より1.9メートル下がっているが、燃料棒より上に3.4メートルの余裕がある。燃料棒は冷やされており、危機的状況にない。
しかし今後、水位が下がらないようにするための予備電源を供給する車が到着。3号機も冷却機能が停止する可能性があり、別の電源車を派遣している。
このほか、東北電力女川原発1~3号機(宮城県)、東京電力福島第1原発1~3号機、同福島第2原発1~4号機、日本原子力発電東海第2(茨城県)の計11基が地震の影響で自動停止した。女川原発ではタービン建屋の地下1階で火災が発生。11日午後11時前に鎮火した。