2011年3月11日 12時0分 更新:3月11日 12時59分
前原誠司前外相を辞任に追い込んだ外国人献金問題が菅直人首相を直撃したことで、菅政権はかつてないダメージを受けるのは必至だ。菅首相は「外国籍だとは知らなかった」と違法性を否定し、辞任しない考えを表明したが、野党から首相の政治責任や進退を問う声も上がっており、政局は緊迫化しそうだ。
民主党の安住淳国対委員長は11日午前、国会内で記者団に「前原さんは在日外国人という認識があり責任を取った。首相は全く認識がない」と強調。枝野幸男官房長官も記者会見で「外国籍と知って献金を受けること以外は刑罰の対象になってない」と述べ、首相の政治責任を否定し、進退問題には発展しないとの考えを示した。
野党は進退問題を含め厳しく追及する構えだ。自民党の逢沢一郎国対委員長は11日午前、国会内で安住氏と会談し「前原さんの例からしても、出処進退の問題に当然発展する」と指摘した。参院での首相問責決議案提出を早めることも検討する方針だ。
公明党の井上義久幹事長は会見で「前原前外相は国益を守るという観点で辞めた。首相は外相よりはるかに職責が重い。事実関係を明らかにし、出処進退を明らかにすべきだ」と首相に進退の判断を迫った。
野党には、4月の統一地方選を間近に控え、専業主婦らの年金切り替え漏れ問題での細川律夫厚生労働相の政治責任を合わせ、「瀬戸際」(自民党幹部)にある菅政権に攻勢をかける空気が強い。
民主党内でも小沢一郎元代表に近い奥村展三衆院議員は「(出処進退は)自分で考えればいい」と自発的な退陣論を示唆。黒田雄衆院議員は11日昼の党両院議員総会で「首相の問題は事実関係を明らかにしてけじめをつけ、党として責任ある対応を取るべきだ」と要求した。公明党幹部は「政治家はイメージだ。民主党で統一地方選を前に『菅降ろし』が加速するだろう」との見方を示した。【田中成之、野原大輔】