犯罪収益移転防止法:資金洗浄の対策強化…改正案閣議決定

2011年3月11日 11時18分

 政府は11日、マネーロンダリング対策を規定した犯罪収益移転防止法の一部改正案を閣議決定した。金融機関などが取引の際に確認しなければならない事項に顧客の取引目的や事業内容などを追加。マネロン対策の国際基準に規定を近づけるとともに、犯罪組織へ圧力を強めるのが狙い。【鮎川耕史】

 ◇国際基準に近づける

 マネロンは、犯罪で獲得した収益の出所を隠すために、口座を転々とさせたり、不動産や物品購入の形で資金を移動させる行為。犯罪収益移転防止法はその対策として、金融機関や不動産業者、宝石商などを「特定事業者」と定め、一定の取引に関する顧客の名前や住所を確認するよう義務づけている。

 一方、マネロン対策を推進する国際組織「FATF(金融活動作業部会)」は08年10月、日本の制度を審査した結果、金融機関が取得を義務づけられている顧客情報は不十分であると指摘。FATFの基準を目標に制度を改善するよう日本政府に求めた。

 改正案は、FATFの指摘を踏まえ、特定事業者が取得すべき顧客情報を同法に追加した。顧客が法人である場合は実質支配する大株主や事業内容の確認を義務づける。犯罪に関係することが疑われる取引については、顧客の資産や収入状況の確認も課す。

 また、振り込め詐欺で利用されることの多い電話転送サービス業者を特定事業者に追加する。警察庁によると、昨年1年間に全国の警察が検挙した振り込め詐欺のうち、電話転送サービスが利用されたものが39%を占めた。業者を同法の対象とすることで、犯罪組織によるサービス悪用の防止を図る。

◇FATF(金融活動作業部会)◇

 国際的なマネーロンダリングやテロ資金供与への対策を推進する政府間組織。89年のアルシュ・サミット経済宣言を受けて設置され、34の国・地域と二つの国際組織が参加。「勧告」と呼ばれる国際基準を策定し、それが順守されているかの審査を参加国に対して行う。

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