由規８イニング２失点３勝目　防御率トップ１．２９

　ひと回り“オトナ”になった由規が、今季３勝で防御率１・２９とリーグトップに躍り出た。「今までは打たれちゃいけないと思うと、力んでいた。ピンチの時ほど力を抜くことを心掛けている」。８回無死満塁の場面でも「冷静に」と声に出して自分に言い聞かせ、併殺と右飛で１失点にしのいだ。

　意識が変わったのは昨季途中。「力を入れるほど球が行かないのが分かった。今はリリースの瞬間だけ力を入れる」という。昨年マークした日本人最速１６１キロに誇りを持ちながらも「そこが主じゃない」と、力でねじ伏せるより勝つ投球を意識するようになった。

　仙台育英高時代、０６年夏の甲子園でバッテリーを組んだ１年先輩の斎藤泉さんが東日本大震災の犠牲になった。「他の先輩たちから“アイツの分まで頑張ってくれ”と言われた。励まさなきゃいけない立場の自分が、逆に励まされてる」。悲しみを力に変えた。捕手の相川は「苦しいときに頑張れるようになった。一つ大人になったかな」とうなずいた。　（竹村和佳子）