【社説】19年ぶりに再逆転した韓日のDRAM技術

 日本の半導体大手エルピーダメモリが、半導体回路の幅を25ナノメートル(10億分の1メートル)まで小さくしたDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)を世界で初めて開発し、7月から量産すると発表した。メモリー半導体で世界トップのシェアを誇るサムスン電子は、現在35ナノDRAMが主力で、20ナノクラスは今年末ごろから生産に入るという。

 1992年にサムスン電子が世界で初めて64メガDRAMを開発して以来、韓国はこれまで半導体集積度競争で一度も日本に後れを取ったことがなかった。集積度とは、一つのチップにどれだけ多くの回路や機能を入れることができるかということだ。サムスン電子はこれまで、DRAM分野でだけは日本、米国、台湾、ドイツのライバル各社に比べ6カ月以上先を行っていると自信を持ってきた。ところがエルピーダが25ナノ製品の開発に成功したことで、サムスンの自負心は崩壊した。

 エルピーダは今年1-3月期に60億円もの営業赤字を記録し、営業利益率もマイナス7%にまで落ち込むなど、極度の経営不振に苦しんでいる。サムスン電子の半導体事業部門の営業利益率は18%だ。しかもエルピーダは、30ナノクラスの製品でさえ本格生産を行っていない。そのためエルピーダが発表通り25ナノ製品を市場に投入できるかどうかは、最後まで見極める必要があるだろう。

 いずれにしても今回のエルピーダの発表を通じ、日本の半導体技術の底力を改めて認識することができた。日本の半導体産業は1980年代に世界のDRAM市場の80%を占めたが、最近は10%前後にまで落ち込んでいる。またDRAMメーカーも、NECと日立のメモリー事業部が合併したエルピーダ1社しか残っていない。しかし日本は今も、半導体回路設計や微細加工などで世界トップレベルの技術力を誇っている。エルピーダの技術力に台湾メーカーの優れた大量生産ノウハウがプラスされれば、サムスン電子の技術優位も一瞬にして崩壊しかねない。

 サムスン電子はスマートフォン(多機能携帯電話端末)時代の到来を予測できず、アップル社のiPhoneの普及によって大きな打撃を受け、その後遺症は今も残っている。その上今回は、サムスン電子が最も自信を持つDRAM分野でも技術開発競争でエルピーダに先を越された。IBMは大型コンピュータに力を入れ最終的にパソコン市場から撤退し、マイクロソフトは従来からあるソフトウェアの改良にばかり力を入れ、今ではグーグルにIT(情報技術)業界の主導権を奪われている。サムスン電子もこれまで20年近くトップの座を守ってきたが、組織内部に官僚主義が広まり、企業イノベーションの原動力となる創造的破壊の速度も目に見えて遅くなった。世界との厳しい競争にさらされるグローバル企業として、これは非常に憂慮すべき状況と言わざるを得ない。DRAMの技術開発競争で19年ぶりに韓日が再逆転した影響は、今後も注意深く見守らなければならないだろう。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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