2011-05-05 14:00:00 ryobaloの投稿

赤十字募金と老人の知恵

テーマ:政治
作家の曽野綾子氏と上智大学名誉教授の渡部昇一氏の対談記事で、「なるほどな」と思ったものがありましたので載せたいと思います↓

渡部★先ほど、マスコミからの質問に「物資は公平に配られているか」という発言があったとおっしゃっていましたが、笹川陽平さんは今回も自分で出掛けていって、「公平に配るなんて言ってられない」と言って、すぐさま遺族に5万円ずつ配った。立派な態度でしたね。

曽野★今回も漁船の新造のためにも100億円用意したそうです。
やるべきことは素早くやらないといけません。
お金を動かすのは早ければ早いほど効果がありますからね。
ボストンバッグに現金を詰めて駆けつけるくらいじゃないと。

渡部★赤十字の義援金が配られるのも相当先でしょう。
阪神淡路大震災の時も1年以上かかりました。
赤十字には義援金を集める法律はあっても、配る法律がないと聞きました。

★日本人の耐え難き甘さ★

曽野★私は寄附されたお金を扱う側の仕事をしてきたのですが、
「何に使うか」をハッキリしないといけませんね。
アチェの津波の時に、私たちの組織からUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に連絡をとって「要望をいただければそれに合わせてテントを用意します。すべておっしゃるとおりにしますが、テント屋には私たちが直接支払って、受け取りをもらいたい」と言ったら、「それはできない」と言われました。
すべて国連の機関に一旦お金を入れないといけない。それで寄附するのをやめたんです。

渡部★阪神淡路大震災の時ときも、どこかのタレント集団が1千万円以上も集めておきながら、現地に寄附したのは200万円だったということがありましたね。

曽野★そのお金がどこに行くか、とことん分からないとね。
でも、外国の場合はたいてい大統領や閣僚が使ってしまいそうですね。
日本の人達は、「貧しい人のために送ったのに、どうして大統領が使うんですか」などという、この甘さ。

編集部★そこまで考えて募金している人はそうそういないでしょうね。

曽野★東南アジアに深く入って、どうやったら直接困っている人に届けられるか考えたことがあります。
たとえば100万円だったら、それを1ドル札で用意するのか、5ドル札なのか、10ドル札なのか。
私ならケチケチ配るために、1ドル札で用意して現場に乗り込む。
そこで身振り手振りで「家も家族も流された」と嘆いているおばあさんに直接パッと渡せばいいと思った。
けれど、その現場を見られたらすぐ取られてしまうんです。
よしんば、おばあさんに渡せても、私たちが現金を持っていることを知られたら襲われますから、どうにもしようがない。
かといって、政府や組織を通したら必ず盗まれる。
それが世界の常識です。

渡部★しかも、非常時にかぎったことではありません。
日本政府は以前、中国からの留学生に奨学金を出していましたが、まずは中国大使館が巻き上げていたし、後は学生が親に送っていましたからね。
「どういう国なんだ」と思うけれど、日本だけがまともということですね。

★日本人は立派すぎる★

曽野★日本財団にいた頃、北朝鮮で薬を配ることになった「あの国で本当に庶民に渡りますか?」と聞いたのですが、常務理事が北朝鮮まで行って、渡すところまで見るから大丈夫だというんですけれど、甘いですね。
渡したとしても、裏で回収してますよ。
海外で援助の仕事をしたらすぐにわかることです。

渡部★日本が立派過ぎるんだな。

曽野★報道や世間に流されないようにするのは一朝一夕にできることではなくて、やはり親の教育です。
私は母から、「みんなが右に行く時は左に行きなさい」と教わりました。
だから、私は徹底して、みんなが買わない時に買って、みんなが買っている時は買わないんです。
老人の知恵を使えばいいんですよ。

渡部★やはり、体験から学ぶことが一番ですね。

曽野★そうですね。人間が失われたことは大きすぎてどうしようもないことですが、人は体験した事を、たとえば政治や生活に反映しなければなりません。
若い人達にとっては、電気や水道がないところでどうやったら生きられるかを考える。
最低限、そこから始まります。
不幸から何かを学んだら、それは不幸から贈り物をもらえたことになります。
不幸だ不幸だと言っていてもろくなことがありませんから。

曽野綾子氏
$Jellyの~日本のタブー~


渡部昇一氏
$Jellyの~日本のタブー~

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