2011年5月5日1時53分
西川一誠福井県知事は4日、福島第一原発の事故を受けた緊急安全対策の視察で関西電力美浜原発を訪れた海江田万里経済産業相に、「関西に供給する電力は今夏には半減になる可能性もある」と迫った。定期検査中の原発の再起動を判断するため、国が暫定的な安全基準を早期に示すよう、海江田経産相に改めて求めた。
西川知事は先月19日、福島の事故を踏まえて安全設計や耐震設計の指針を国は見直すよう、海江田経産相に要求した。定期検査中の原発は当面、暫定的な安全基準を設けるよう求め、「その基準を満たさないと再起動は認めない」という立場を示している。
県によると、県内に立地する原発は、関西2府4県の消費電力の約55%をまかなう。定期検査が交互にあり、実際は商業原発13基のうち稼働しているのは常時8〜9基だ。
11基を抱える関電は現在、美浜1号機、高浜1号機、大飯1、3号機の計4基が定期検査中で、今夏に向けてさらに美浜3号機、高浜4号機、大飯4号機の3基が定期検査に入る予定だ。西川知事は「夏に稼働しているのは4〜5基になる。早く方向性を出してほしい」と訴えた。
視察後、報道陣から定期検査中の原発の再起動を問われた海江田経産相は「5月上旬にも電力事業者の緊急安全対策が安全基準を満たしているか、最初の判断をする」と話したが、再起動を判断する時期は示さなかった。ただ、西川知事が要求する暫定的な安全基準は「着実にやっていく」と述べた。(清井聡、笹川翔平、足立耕作)