ビンラディン襲撃作戦の衝撃舞台裏。NBCテレビのインタビューに答えたパネッタ長官によると、拘束テロリストの口を割らせるために使われたのは「水責め」だった。
水責めの一般的な手法は、体を板などに縛り付けて動けなくした上であおむけにする。そして鼻や口に大量の水を絶え間なく掛ける。口を閉じていれば水は飲まなくて済むが息ができなくなり、口を開ければ大量の水を飲まざるを得ない。どちらにしても、想像しただけで息苦しい。
パネッタ長官は具体的な容疑者名を出さなかったが、拘束中のテロ容疑者に対してこの手法を用いたと話した。
NBCテレビは米当局者の話として、米同時多発テロの首謀者の1人、ハリド・シークモハメッド容疑者と実行犯の1人、モハメッド・アルカータニ容疑者が情報源、つまり水責めにされた可能性があると報じている。
水責めについてパネッタ長官は今回、「進化した尋問方法」と表現しているが、2009年のCIA公聴会で、同長官は「水責めは拷問。そしてそれは間違った手法だ」と証言。時は流れて考え方も変わった!?
米国によるテロ容疑者への過酷な尋問は、2000年に起きた中東イエメンでの米イージス駆逐艦「コール」の爆破テロ事件の首謀者、アブド・アルナシリ被告(46)に、水責めによる尋問が行われた。08年に当時のマイケル・ヘイデンCIA長官(74)が認めている。
拷問によって得られた情報は、拷問にかけられた者が苦しさから逃れるためにウソの供述をする可能性があり、信ぴょう性に疑いがあるとされる。この可能性を否定するためなのか、パネッタ長官はインタビューでビンラディン容疑者の隠れ家割り出しについて、水責めだけではなく、「他の情報源からも得られた」と強調した。
一方で、パネッタ長官は米誌タイム(電子版)がNBCテレビと同じ3日(日本時間4日)に報じたインタビューで、作戦実施時まで状況証拠しかなく、「隠れ家にビンラディン容疑者がいるとの確証は60〜80%程度」だったとも証言している。
(紙面から)