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インテル、立体構造の半導体生産へ 省電力と高速化実現

2011年5月5日9時24分

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写真:インテルの新型トランジスタの拡大図。上からかぶさるように並ぶのが電流を立体的に制御する素子(インテル提供)拡大インテルの新型トランジスタの拡大図。上からかぶさるように並ぶのが電流を立体的に制御する素子(インテル提供)

 米半導体最大手インテルは4日、立体構造をもった半導体チップを開発し、年内に生産を開始すると発表した。立体構造にすることで、従来の平面構造では実現が困難だった高速で消費電力の少ないチップが実現するという。

 半導体業界は、限られた大きさの半導体チップの上に、どれだけ多くのトランジスタを集積するかを競っている。トランジスタは半導体を利用したごく小さな部品で、二つの電極の間に電流を流すか流さないかで電気信号を制御する。電極の幅を小さくすることで集積度を高め、処理能力の向上と消費電力の低下を進めてきた。

 現在主流の電極の幅は32ナノメートル(ナノは10億分の1)。人間の髪の毛の約3千分の1の細さだ。これ以上幅を小さくすると電極間で電流が漏れやすくなり、返って効率が悪くなる恐れが出ていた。

 このためインテルは、電極の間に電流を制御する「冂」の形の素子を置き、電流を3方向から立体的に制御することにした。この結果、電流の漏れを減らしながら電極の幅を22ナノメートルにすることができた。消費電力は従来品の半分に抑えられるという。

 インテルの共同創業者、ゴードン・ムーア氏は1960年代に「トランジスタの集積度は約2年ごとに2倍になる」と予言した。以降、半導体の性能はこの「ムーアの法則」に従って進歩してきた。同社は「今回の革新で、ムーアの法則は引き続き有効であることになる」とコメントした。

 インテルは、圧倒的なシェアをもつパソコンやサーバー向け半導体に新技術を採用するほか、ライバル社に押され気味なタブレット型端末や携帯電話向け半導体にも活用し、省電力を武器に巻き返しを図る。(ニューヨーク=山川一基)

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