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2011年5月3日(火)
焼き肉店で腸管出血性大腸菌感染
富山、福井両県の焼き肉チェーン店舗で食事をした男児2名が、腸管出血性大腸菌0-111に感染して死亡したニュースが報道されていましたが、神奈川県横浜市にある同じ系列店舗で食事をした19歳の女性が、食中毒で入院し意識不明となっていることがわかりました。

焼き肉店食中毒、横浜市の患者は6人 3県で計66人 (朝日 5月3日)

 富山、福井両県の焼き肉チェーン店で生肉のユッケなどを食べた男児2人が死亡した食中毒で、横浜市は3日、神奈川県内の同系列2店で食事した横浜市の6人に下痢などの食中毒症状が出たと発表した。うち入院中の女性は意識障害があるが、命に別条はないという。
 これで患者は3県で66人に達し、うち腸管出血性大腸菌のO(オー)111などが引き起こす溶血性尿毒症症候群(HUS)やその疑いがある重症者も24人に上る。


このチェーン店の社長が、焼き肉業界の実態についてインタビューで話しています。
ユッケは人気なので…業界全体で危険に目つぶる (読売 5月3日) 

 「ユッケが、人気商品だったので――」。焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」で発生した集団食中毒で、同チェーンを運営する「フーズ・フォーラス社」(金沢市)の勘坂康弘社長は2日、同社で記者会見し、生肉の提供が危険だと認識しながらも、販売をやめられなかった理由をこう説明した。
 今回の問題の背景には、消費者のニーズが高い一方で、厚生労働省が定める「生食用」の牛肉が市場にはほぼ流通していないというギャップがあると指摘する声も出ている。
 厚労省が定める生食用の食肉に関する基準では、決められた場所と手順に従って牛などを解体するほか、販売時には「生食用」と明記する必要がある。
 しかし、同省監視安全課によると、生食用の食肉処理施設は全国に12か所あるが、出荷されているのはいずれも馬肉で、「2008、09年度は生食用の牛肉の出荷がなかったことが確認されている」とする。同省は、市場に流通している牛肉については、保健所などを通じて、加熱処理した上で客に提供するよう呼びかけているという。
 ところが、全国焼肉協会(東京都)や県内の複数の焼き肉店は、加熱用の牛肉をユッケなど生肉のままで提供することは「業界の慣習だった」と証言する。同協会は「生食の危険性は認識しており、協会としては提供しないよう呼びかけていた。しかし、焼き肉店としては客のニーズがあるのでやめられない」と、業界全体で問題を把握しながら目をつぶってきたことを明かす。


●腸管出血性大腸菌
 大腸菌は、家畜や人の腸内にも存在します。ほとんどのものは無害ですが、このうちいくつかのものは、人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、病原大腸菌と呼ばれています。病原大腸菌の中には、毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こす腸管出血性大腸菌と呼ばれるものがあります。
 腸管出血性大腸菌は、菌の成分(「表面抗原」や「べん毛抗原」などと呼ばれています)によりさらにいくつかに分類されています。代表的なものは「腸管出血性大腸菌O157」で、そのほかに「O26」や「O111」などが知られています。
 腸管出血性大腸菌は、牛などの家畜や人の糞便中に時々見つかります。家畜では症状を出さないことが多く、外から見ただけでは、菌を保有する家畜かどうかの判別は困難です。

●腸管出血性大腸菌の原因および年間報告数
 腸管出血性大腸菌の感染は、飲食物を介した経口感染であり、菌に汚染された飲食物を摂取したり、患者の糞便に含まれる大腸菌が直接または間接的に口から入ることによって感染します。
 腸管出血性大腸菌の感染事例の原因食品等と特定あるいは推定されたものは、国内では井戸水、牛肉、牛レバー刺し、ハンバーグ、牛角切りステーキ、牛タタキ、ローストビーフ、シカ肉、サラダ、貝割れ大根、キャベツ、メロン、白菜漬け、日本そば、シーフードソースなどです。海外では、ハンバーガー、ローストビーフ、ミートパイ、アルファルファ、レタス、ホウレンソウ、アップルジュースなどです。
 また、国内で流通している食品の汚染実態を調査したところ、牛肉、内臓肉及び菓子から本菌が見つかったという報告もあります。
 腸管出血性大腸菌による食中毒は、年間10~30件、患者数は100~300人で推移しています。

●腸管出血性大腸菌感染症の症状
 腸管出血性大腸菌の感染では、全く症状がないものから軽い腹痛や下痢のみで終わるもの、さらには頻回の水様便、激しい腹痛、著しい血便とともに重篤な合併症を起こし、時には死に至るものまで様々な巾があります。しかし、多くの場合(感染の機会のあった者の約半数)は、おおよそ3~8日の潜伏期をおいて頻回の水様便で発病します。さらに激しい腹痛を伴い、まもなく著しい血便となることがありますが、これが出血性大腸炎です。発熱はあっても、多くは一過性です。
 これらの症状の有る者の6~7%の人が、下痢などの初発症状の数日から2週間以内(多くは5~7日後)に溶血性尿毒症症侯群(HUS)や脳症などの重症合併症を発症するといわれています。
 激しい腹痛と血便がある場合には、特に注意が必要です。

●溶血性尿毒症症侯群(HUS)
 HUSとは溶血性尿毒症症侯群(Hemolytic Uremic Syndrome)の略です。様々な原因によって生じる血栓性微小血管炎(血栓性血小板減少性血管炎)による急性腎不全であり、(1)破砕状赤血球を伴った貧血、(2)血小板減少、(3)腎機能障害を特徴とします。HUSの初期には、顔色不良、乏尿、浮腫、意識障害などの症状が見られます。
 HUSは腸管出血性大腸菌感染の重症合併症の一つであり、子どもと高齢者に起こりやすいのでこの年齢層の人々には特に注意が必要です。

●腸管出血性大腸菌の予防
 腸管出血性大腸菌はサルモネラや腸炎ビブリオなどの食中毒菌と同様加熱や消毒薬により死滅します。したがって、通常の食中毒対策を確実に実施することで十分に予防可能です。

腸管出血性大腸菌Q&A (厚生労働省)

●ちょっと待って!お肉の生食
東京都福祉衛生局の食品安全情報サイトでは、以前から牛・鶏・豚の生食に警鐘を鳴らしています。
ちょっと待って!お肉の生食

1 お肉は生で食べると、食中毒になることがあります。とりわさ、レバ刺しなどによる食中毒の原因菌である「カンピロバクター」や「腸管出血性大腸菌(O157など)」は、少量の菌で食中毒を起こします。新鮮であっても、菌が付いている食肉を生で食べれば、食中毒になる可能性があります。
2 子どもが食肉を生で食べると、特に危険です。カンピロバクターによる腸炎は、子どもに多く発生します。また、腸管出血性大腸菌(O157など)による食中毒では、合併症で溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症する率が子どもにおいて高く、腎機能障害や意識障害を起こし、死に至ることがあります。子どもも含めて、カンピロバクターによる食中毒の後、手足の麻ひ、呼吸困難等を起こすギラン・バレー症候群を発症することがあります。
3 「生食用」の牛肉、鶏肉は流通していません。厚生労働省は、「生食用食肉等の安全性確保について」の通知で、生食用食肉の衛生基準を示していますが、平成20年度にこの通知に基づいた生食用食肉の出荷実績があったのは、馬の肉・レバーだけでした。牛肉については国内と畜場から生食用としての出荷実績はなく、一部生食用として輸入されているものがありますが、その量はごく少ないものと考えられます。また、鶏肉は生食用の衛生基準がありません。したがって、牛肉、鶏肉は、生で食べると食中毒になる可能性があります。

さらに、ここに掲載されている事業者向けのリーフレットには、次のように書かれています。

正しく知ろう!生肉の取扱い(東京都福祉保険局)

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