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【福島原発事故】

福島原発 海水から1250倍放射性物質

2011年3月26日

 東日本大震災で被災した福島第一原発の事故で、経済産業省原子力安全・保安院は二十六日、放水口近くの海水から法令で定める濃度限度の約千二百五十倍、一ミリリットル当たり五〇ベクレルの放射性物質ヨウ素131を検出したと発表した。1、3号機のタービン建屋には、高濃度の放射性物質を含む水がたまっているが、東京電力はこのたまり水が漏れ出た可能性について「否定できない」という。

 また、3号機タービン建屋の地下で作業員三人が被ばくした事故で、東電は事故前に1号機タービン建屋地下のたまり水から高い放射線量が出ていたにもかかわらず、被ばくした作業員たちに伝えていなかったことを明らかにした。

 海水は二十五日に1〜4号機の放水口の南約三百三十メートルの海岸近くで採取された。これまでの最高値は、二十三日採取分の同五・九ベクレル(濃度限度の約百四十七倍)で、今回はその約八・五倍になる。ただ、保安院は「海で拡散する上、近辺で漁業が行われていないこともあり、人体に影響はない」と説明している。

 1、3号機のタービン建屋地下には、通常運転時の原子炉内と比べ一万倍の濃度の放射性物質を含む水がたまっており、炉内の燃料棒が損傷し、汚染された水が何らかの原因で漏れだした可能性が高い。2号機タービン建屋地下の水からも、一時間当たり二〇〇〜三〇〇ミリシーベルトの放射線が確認されており、保安院によるとこれらの放射線量は全体的に上昇傾向を示しているという。

 復旧作業では、たまり水の影響でタービン建屋地下の作業が中断している。このため東電は二十六日、1号機タービン建屋内のたまり水を、敷地内のタンクに送る方法で回収し始めたことを明らかにした。地上部分では電源復旧作業を続け、2号機の中央制御室の照明点灯を目指す。

 またこの日、2号機の原子炉内を冷やすのに使っていた海水を、中性子を吸収して核分裂を抑えるホウ酸入りの真水に変えた。敷地内のタンクにためた真水を、消防車のポンプで炉内に送る方法で、1、3号機ではすでに切り替えを済ませている。使用済み核燃料プールの冷却水は二十七日中に海水から真水に変える予定。

 

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