拠点病院4割は20キロ圏内=放射能漏れで機能喪失恐れ―地元に原発抱える13道県
時事通信 5月5日(木)2時32分配信
原発を地元に抱える13道県が放射能漏れ事故に備えて指定している「緊急被ばく医療機関」の約4割が原発から20キロ圏内に位置し、大規模な事故の場合に機能しない恐れのあることが分かった。原発周辺が避難区域に指定されると、医師や患者が病院にとどまるのが難しい。原発に近ければ患者を速やかに搬送できるが、近過ぎると施設が使えなくなるジレンマが東日本大震災で浮き彫りになった。
東京電力福島第1原発の事故では、政府が事故翌日に20キロ圏内を避難指示区域に指定。これに伴い福島県内の緊急被ばく医療機関7カ所のうち3カ所が機能を失い、患者に速やかに初期治療を施すという本来の役割を果たせなかった。
時事通信社の調べでは、地元に原発を抱える13道県が指定する緊急被ばく医療機関の総数は計74カ所(高度専門治療を行う「3次機関」などを除く)。うち約4割に当たる31カ所が原発の20キロ圏内に位置する。福島の事故で屋内退避区域に指定された30キロ圏内まで対象範囲を広げると、その数は半数以上の38カ所に上る。
自治体別で見ると、1999年に東海村で臨界事故が起きた茨城県では7カ所のうち5カ所が原発の20キロ圏内に立地。30キロ圏内で見ると「全滅」してしまう格好だ。一方、北海道では5カ所のうち20キロ圏内に該当するのは1カ所だけだが、この病院が機能を停止すると次に近い病院は原発から70キロ近く離れており、迅速な治療は難しい。
福島の事故では、初期治療を担う3病院が機能を停止し、他の指定機関に負担が集中。原発から約23キロ離れた南相馬市立総合病院には一般患者の中に放射線を浴びた被ばく患者がおり、院内が一時混乱した。同病院の医師(31)は「医療機材や防護服が配備されている(原発近くの)病院が全く機能しなかった。もう少し耐えてくれていれば状況は違った」と振り返る。
【関連記事】
原乳出荷制限を解除=福島県2市町の一部で
女性の被ばく限度超過2人に=東電「今後はすぐ避難」
4号機プール内の映像公表=燃料上にがれき、損傷確認できず
1号機、注水量減らす=圧力低下、爆発防止で
耐震設計の新知見「なし」=東電、昨年度の論文検討
東京電力福島第1原発の事故では、政府が事故翌日に20キロ圏内を避難指示区域に指定。これに伴い福島県内の緊急被ばく医療機関7カ所のうち3カ所が機能を失い、患者に速やかに初期治療を施すという本来の役割を果たせなかった。
時事通信社の調べでは、地元に原発を抱える13道県が指定する緊急被ばく医療機関の総数は計74カ所(高度専門治療を行う「3次機関」などを除く)。うち約4割に当たる31カ所が原発の20キロ圏内に位置する。福島の事故で屋内退避区域に指定された30キロ圏内まで対象範囲を広げると、その数は半数以上の38カ所に上る。
自治体別で見ると、1999年に東海村で臨界事故が起きた茨城県では7カ所のうち5カ所が原発の20キロ圏内に立地。30キロ圏内で見ると「全滅」してしまう格好だ。一方、北海道では5カ所のうち20キロ圏内に該当するのは1カ所だけだが、この病院が機能を停止すると次に近い病院は原発から70キロ近く離れており、迅速な治療は難しい。
福島の事故では、初期治療を担う3病院が機能を停止し、他の指定機関に負担が集中。原発から約23キロ離れた南相馬市立総合病院には一般患者の中に放射線を浴びた被ばく患者がおり、院内が一時混乱した。同病院の医師(31)は「医療機材や防護服が配備されている(原発近くの)病院が全く機能しなかった。もう少し耐えてくれていれば状況は違った」と振り返る。
【関連記事】
原乳出荷制限を解除=福島県2市町の一部で
女性の被ばく限度超過2人に=東電「今後はすぐ避難」
4号機プール内の映像公表=燃料上にがれき、損傷確認できず
1号機、注水量減らす=圧力低下、爆発防止で
耐震設計の新知見「なし」=東電、昨年度の論文検討
最終更新:5月5日(木)2時35分
ソーシャルブックマークへ投稿 1件
関連トピックス
主なニュースサイトで 放射能漏れ の記事を読む
この記事を読んでいる人はこんな記事も読んでいます
- 事故長期化で重視される積算値 1度に浴びるより影響は小さいが…(産経新聞) 5月4日(水)21時19分
- 【from Editor】徹底的な放射線低減策を(産経新聞) 5月3日(火)7時56分
- 原発緊急安全対策 関電が改訂版提出 福井(産経新聞) 4月28日(木)7時56分
- 本格復興で2次補正編成へ=財政規律との両立に曲折も(時事通信) 5月2日(月)20時57分
- 防護服など放射性廃棄物大量発生 先見えぬ原発ごみ処分(産経新聞) 5月3日(火)21時2分
|