2011年5月4日10時37分
公電によると、前原氏はこう続けた。日本政府は、米国と沖縄県民の双方に受け入れ可能な複数の案を模索する。だが、「もし、現行案以外のあらゆる代替案に米国が賛成しなければ、民主党は現行の再編計画を進め、必要ならばゴールデンウイーク後に連立を解消する用意がある」。
ルース大使は、米国も議会対策は問題だとした上で、こう付け加えた。「鳩山氏が大統領に、彼を信じるよう言っておきながら、きちんと最後まで遂行しなかった問題もある」
一方、09年12月9日の在東京大使館発の「秘」指定公電は、山岡賢次国会対策委員長(当時)を小沢一郎・民主党幹事長(同)の「腹心」と位置づけた上で、首席公使らとの会談内容を記している。山岡氏は連立維持の必要から「米国が圧力をかけ続ければ状況は悪化する」と説き、年内決着を断念し先送りする「決定がすでになされている」と米側に伝えたという。
前原氏や山岡氏の動きは、連立維持の必要性を理由に決着先送りへ理解を求めつつ、翌年の参院選で勝てば連立を解消して現行案で決着できる、と保証するねらいだったとみられる。
ただ、鳩山政権の方針は、その後も揺れ続けた。
薮中三十二外務事務次官(当時)とルース大使の09年12月21日の昼食会を扱った極秘指定の公電によると、薮中氏は同月17日の鳩山首相のコペンハーゲンでのクリントン米国務長官との会談内容にふれ、「政府による見直し作業で辺野古移設に代わる実現可能な案が見つからなければ、06年の再編合意(現行案)に立ち返る、と鳩山氏は確認した」と明かしている。
鳩山氏は会談直後、「(現行案を)強行すると大変危険だ。新たな選択を考えて努力を始めている」と説明した、と記者団には話していた。公電によると、薮中氏は「新聞報道は不正確」と、ルース大使に述べている。