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[政治]ニュース
【阿比留瑠比 被災地・福島を歩く】「村民はすべてをなくす」 首相と被災地に意識乖離
2011.5.4 22:45
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「首相が『(区域設定は)やりすぎるぐらいやってちょうどいい』と言っていたと何人もから聞いた。それによりどういうことが起きるかも考えてほしい」
菅野村長の声は悲痛だ。村幹部も「結局は菅政権の保身だ」と言い切る。
「命は大切だということに誰も文句は言えないが、政府はその美辞麗句の下で村民に何十倍、何百倍のリスクを負わせている」
政府指示に従って全村避難した場合、いつになったら村に戻れるのか。村議会の佐藤長平議長は「1年で戻りたいが、政府には見通しが全然ない」と明かす。
村には約2千頭の牛がいるが、村外移送のめどは立っていない。佐藤議長は「1日1回2時間、避難先から村に戻り、牛の世話ができればいい」と話す。だが、このアイデアを菅野村長が4月26日に官邸を訪ねた際に打診したところ、その場で拒絶されたという。
放射線に詳しい札幌医科大の高田純教授は「政府はもっときちんと科学的調査をすべきだ」と指摘する。
「飯舘は低線量で避難の緊急性はない。政府は将来の線量予測を過剰評価しており、その介入政策には根拠がない。政府は風評被害をばらまいている」
計画的避難に強制力はない。村は危険なのかそうでないのか。村民の心も揺れ動く。永承6年(1051年)年創建の古社、山津見神社の久米隆時宮司は言う。
「避難するかはその時になってみないと分からない。噂では7割ぐらいの村民が残るといわれているが…」
できるだけ避難せず村に残る道を模索してきた菅野村長のもとには、全国から「殺人者」「村民をモルモットにするな」などの心ないメールが届いている。
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