東日本大震災の被災地、宮城県石巻市では、2か月近くにわたる避難所生活のストレスなどから、壊れたままの自宅に戻って2階などで暮らす人が、避難所にいる人とほぼ同数の9500人余りに上るとみられることが分かりました。石巻市は「安全だとは言い切れず、できれば避難所に残って仮設住宅の完成を待ってほしい」としています。
石巻市によりますと、被災した人のうち、およそ9500人が今も市内の108か所の避難所で生活しています。その一方で、2か月近くにわたる避難所での生活の疲労やストレスから、避難所を出て、地震や津波で被災した自宅に戻って生活する人たちが増えているということです。石巻市の推計では、こうした人は避難所にいる人とほぼ同じ9500人余りに上るとみられ、津波で水につかった1階ではなく、2階を中心に生活している人が多いということです。また、多くの住宅で水道や電気、ガスが復旧していないため、市が一日2回、弁当などを配送しているほか、希望者には救援物資の医薬品や日用品なども届けているということです。このうち、石巻市渡波の42歳の男性は「避難所は自由がないし、プライバシーもないので、自宅に戻ってきた。余震は怖いが、仮設住宅に入れるまでは、この家で生活したい」と話しています。これについて石巻市は「被災した住宅は、安全だとは言い切れないが、市が規制することはできない。仮設住宅を急ピッチで建設しているので、できれば避難所に残って仮設住宅の完成を待ってほしい」と話しています。しかし、およそ1万戸の仮設住宅が必要だとする市の計画に対して、来月上旬までに完成のめどがたっているのは、およそ1800戸にとどまっており、被災者にとっては、どこで暮らせばよいのか先の見えない状態が続いています。