2011年3月10日 22時9分 更新:3月11日 1時5分
米国務省のケビン・メア前日本部長が沖縄の人を「ごまかしとゆすりの名人」と発言した問題で、ルース駐日米大使は10日午後、沖縄県庁を訪れ、仲井真(なかいま)弘多(ひろかず)知事に対し「心から謝罪し、遺憾の意を伝えたい。発言内容は非難されてしかるべきもので、米国の見解を反映したものではない」と謝罪した。
会談は約15分間。ほとんどの時間がルース大使の謝罪に費やされた。メア氏を同日付で国務省日本部長から更迭し、後任に知日派のラスト・デミング元駐日首席公使が就任したことも説明した。知事は「沖縄まで来られた労や、素早い対応、決定は多としたい」との表現で、米国の対応を一定程度、評価した。その一方で、「我々の信頼関係が元に戻るには少し時間がかかると思う」と述べ、問題解決への道のりの険しさも指摘した。
会談後、ルース大使は、メア氏の発言の事実関係を問う記者団の質問に「デミング氏を日本部長に任命する決定を下したこと自体、すべての事実関係および状況と、日本との関係構築の必要性から到達した見極めだ」などと述べるにとどまった。米軍普天間飛行場移設問題への影響については「沖縄県民の理解を得る努力を今まで以上にしないといけないことも了解している」との認識を示した。
沖縄県議会の高嶺(たかみね)善伸(ぜんしん)議長ら議会の代表者は11日、在日米大使館を訪問し、メア氏の発言について直接、抗議を申し入れる。労組らで構成する「沖縄平和運動センター」も同日、沖縄県庁前で抗議集会を開くことにしており、沖縄側の反発は続いている。
菅直人首相は10日夜、米政府がメア氏を更迭したことについて、「発言それ自体は大変遺憾だった。米国の対応は適切と思う」と首相官邸で記者団に述べ、米国の対応を評価した。普天間飛行場移設問題への影響については「できるだけ影響しないよう日米で努力したい」と述べた。また米国防総省は10日、今月中旬に予定されていたグレグソン国防次官補の沖縄訪問を急きょ中止したことを明らかにした。【井本義親】