ダライ・ラマ14世:政治活動から引退表明 政教分離図り

2011年3月10日 20時5分

 【ニューデリー杉尾直哉】チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世(75)は、チベット動乱52年に当たる10日、チベット亡命政府があるインド北部ダラムサラで会見し、政治活動からの引退を正式表明した。14日に始まる亡命政府議会に提案するという。伝統的に宗教・政治両面の最高指導者を務めてきたダライ・ラマが宗教活動に専念することで政教分離を図り、チベット社会の民主化を促す狙いがある。

 一方、中国政府から「分離主義者」などと攻撃されてきたダライ・ラマは、政治の一線から身を引くことで、チベット問題で中国との交渉前進を図る思惑もありそうだ。

 ノーベル平和賞を受賞したダライ・ラマの政治引退には亡命政府議会などから反対の声も強いが、自身の高齢化も考慮したとみられる。ダライ・ラマが死去した場合、後継のダライ・ラマを選ぶのに数年以上はかかるからだ。

 亡命政府は今月20日に議会・首相選挙を実施する。ダライ・ラマは、いわゆる亡命第1世代は総退陣し、政治権限を新世代の首相に委譲する考えだ。これまでダライ・ラマを補佐してきたサムドン・リンポチェ首相も退く。ダライ・ラマは会見で「私は60年代から、自由選挙で選ばれた指導者に権力を委譲する必要性を繰り返し強調してきた。これを実行に移す時が来た」と述べた。

 首相選には3人が立候補し、米国在住の国際法学者で今年43歳のロブサン・サンゲ氏の当選が有力視されている。首相も議員と同様に直接投票で選ばれ、投票はインド、欧米諸国、日本など世界各地で行われる。亡命政府選管によると、有権者は7万9449人。

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
Check
この記事を印刷

PR情報

スポンサーサイト検索

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド