子ども手当:つなぎ法案で半年延長 共社賛成へ

2011年3月9日 20時6分 更新:3月9日 22時35分

 民主党の岡田克也幹事長と共産党の市田忠義書記局長は9日、国会内で会談し、与野党による子ども手当法案の修正協議が年度末までに整わない場合でも、現行法を6カ月延長する「つなぎ法案」の成立を図ることで合意した。つなぎ法案に成立のめどがついたことで、中学生まで一律1万3000円(月額)を支給する子ども手当の打ち切りは当面回避される。しかし、税制改正法案に含まれる法人税の実効税率5%引き下げや、11年度予算案の歳入を確保する特例公債法案の成立は野党の反対で見込めず、菅直人首相は引き続き厳しい政権運営を迫られる。

 ◇法人減税、特例公債…めど立たず

 共産党は3歳未満に7000円を上積みする子ども手当法案に反対する方針を決めているが、市田氏が2月27日のNHK番組で「廃案にして児童手当に戻す立場ではない」と法案修正に柔軟な姿勢を示したことから、岡田氏が会談を要請した。

 市田氏は会談で(1)11年度限りでない恒久法化(2)月額1万3000円の維持(3)給食費などの天引き禁止(4)年少扶養控除廃止の見直し--などの修正項目を示し、「各党が考えを持ち寄って年度内に修正、成立させるべきだ」と主張した。

 これに対し、岡田氏は「与野党で修正に一致するのは難しい」として「つなぎ法案を来週早々に提出したい」と提案。市田氏は「検討に値する」と応じた。共産党は対象者や受給額が減る児童手当に戻さないことを最優先し、つなぎ法案に賛成する方針だ。

 社民党の福島瑞穂党首も9日の記者会見で「4月から子ども手当が支給されなくなるのは何としても阻止する」と述べ、つなぎ法案に協力する考えを示した。

 共産、社民両党がつなぎ法案に賛成しても参院では119議席で過半数には達しない。しかし、参院で否決されても衆院で3分の2以上の賛成で再可決できる環境が整う。現行法を6カ月延長すると、来年度は4~9月分の子ども手当が支給される。

 一方、民主党の安住淳国対委員長は9日、自民党の逢沢一郎国対委員長に、税制改正法案のうち10年度と同じ措置を3カ月延長するつなぎ法案を提出する方針を伝えた。3月末に期限切れとなる減税措置の継続には自民、公明両党も賛成する方向だ。

 ただ、首相が主導した法人税減税は自公両党とも「不十分」との立場。共産、社民両党は減税そのものに反対しており、実現は極めて難しい。赤字国債の発行を認める特例公債法案が成立しない場合は、秋ごろには予算執行が行き詰まるとみられる。

 菅直人首相は9日、「つなぎ法案」に関し「国民の生活に混乱を与えないように、できるだけ多くの党に理解していただきたいと願っている」と述べ、野党の協力に期待感を示した。首相官邸で記者団に語った。【中田卓二】

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