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【北陸発】

生肉 2年近く無検査 食中毒死 富山県警が捜査本部

2011年5月3日

涙を浮かべ会見する勘坂康弘フーズ・フォーラス社長(右)=2日午後、金沢市入江2のフーズ・フォーラス本社で

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店側「危険性は認識」

 富山県砺波市の焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす砺波店」で食事した男児(6つ)が腸管出血性大腸菌O111に感染し死亡した集団食中毒は二日、福井県内で死亡した男児も同チェーンでの食事による感染と確定した。富山、福井両県で判明した食中毒患者や疑われる人は計五十八人に上り、うち死者は二人。運営会社の「フーズ・フォーラス」(金沢市)は会見で、生肉の危険性を認識しながら細菌検査を二年近くしていなかったことを明らかにし、管理体制の甘さを認めた。富山県警は同日、業務上過失致死傷容疑で砺波署に捜査本部を設置し、全容解明を進める。

 「焼肉酒家えびす砺波店」を運営する「フーズ・フォーラス」は二日、金沢市内の本社で行った記者会見で、生肉の危険性を感じながら、二年近く細菌の有無を検査せずに商品を提供していたことを明らかにした。また牛肉をユッケとして使用したのは卸業者からの提案だったと説明した。

 同社によると、提供したユッケ用の肉は、二〇〇九年七月ごろから食肉販売業者「大和屋商店」(東京都板橋区)から購入。取引を始める際、大和屋商店から細菌検査は陰性だとの連絡があったが、その後は検査に関する連絡がなく、フーズ社も継続的な検査を求めなかった。フーズ社は〇四年十一月から肉の細菌検査を独自に委託していたが、〇九年七月末を最後に検査していない。

 二年近く生肉の検査をしていなかったことについて、同社の勘坂康弘社長(42)は「生肉の危険性は認識していた」と説明。「それまで数カ月に一度、検査を委託していたが、菌は検出されず、出ないものと誤解してしまった。今は反省し後悔している」と危機管理の甘さを認め、陳謝した。

 同社は大和屋商店からメールで「ユッケ用のサンプルができました」と連絡を受けたといい「卸業者と互いに肉を生で使用するという認識があった」と説明した。一方、大和屋商店は取材に対し、生食用としての肉の出荷を否定している。

 今回の感染経路についてフーズ社は、四月十六〜十九日に納入された肉が原因である可能性が高いと主張。共通の食材で複数の店舗で被害があったことなどを理由に「店舗に来る前に汚染されていた可能性が高い」と、同社との関連を否定した。

 

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