2011年3月9日 11時5分 更新:3月9日 14時42分
【ウッドランズ(米テキサス州)山田大輔】小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰った微粒子の成分などを調べる詳しい分析の成果が10日、テキサス州で開かれている国際会議「月惑星科学会議」の特別セッションで初めて発表される。人類が初めて手に入れた小惑星物質の正体が明らかになる歴史的な発表として、世界中の研究者が注目している。
同会議は惑星探査の専門家が集う世界最大の学会で、米アポロ11号が初めて「月の石」を持ち帰ったのを機に69年から毎年開かれている。特別セッションは注目度の高い成果を紹介する狙いで、分析に当たる国内8グループが13件の成果を15分ずつ、約3時間半にわたって発表する。表題は「はやぶさの成果!」と、学会では珍しく感嘆符が付けられた。
分析には、大阪大や九州大など13大学・研究機関が参加している。1月下旬から小惑星「イトカワ」の表面から採取された微粒子のうち、最大0・1ミリ程度と大きめの約50個を対象に着手。大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)などの最新機器を使い、微粒子の内部構造や成分、生命の起源につながる有機物の有無などを調べている。一方、研究を主導する宇宙航空研究開発機構は、成果の事前漏えい防止のため研究者に守秘義務の誓約書を提出させるほどピリピリした対応を取っている。
成果の国内初報告は5月22~27日、千葉市の幕張メッセで開かれる日本地球惑星科学連合大会で行われる。微粒子は1500個以上あり、今夏にも他の研究者に参加を促す国際公募を始める予定だ。