2011年3月9日 10時40分 更新:3月9日 11時14分
【ブリュッセル福島良典】リビア東部地域の反体制派組織「国民評議会」の高官2人が8日、フランス東部ストラスブールで、欧州連合(EU、加盟27カ国)のアシュトン外務・安全保障政策上級代表(外相)らと会談し、同組織を「リビア国民の正統な代表(政府)」として承認するよう求めた。カダフィ政権との戦闘が長期化する中、反体制派が欧州諸国への外交攻勢を本格化し、国際社会の支援を求める活動に乗り出した。
2人は国民評議会で軍事・外交部門を担当する「危機管理委員会」のマフムード・ジブリル委員長と外交責任者のアリ・エサウィ氏。フェルホフスタット欧州議会議員(元ベルギー首相)の招待でストラスブールの欧州議会を訪れた。ジュペ仏外相とも一両日中に会談する予定という。
ジブリル委員長は8日、欧州議員団との会談で、国民評議会の政府承認を求めたほか、リビア上空への「飛行禁止空域」の設定や、反体制派への武器提供などを通じて「カダフィ(大佐)に対する武装闘争」を支援するよう促したという。
EUは10日の外相会議、11日の特別首脳会議でリビア情勢への対応を協議する。政府系ファンド「リビア投資庁」など5法人のEU域内資産を凍結する追加制裁を発動し、カダフィ政権に対する圧力強化策を打ち出す見通しだ。アシュトン氏は両会議で現地情勢や反体制派の要望を加盟国首脳らに伝達する。
EUはチュニジア国境や、リビア東部、首都トリポリに担当欧州委員や人道援助調整官、調査団を派遣し、情報収集にあたってきた。だが、戦況などはメディア報道が頼りで、カダフィ政権による反体制派弾圧の実態は把握できていない。このため、反体制派との接触は弾圧情報を入手する目的もある。
一方、カダフィ政権に兵力や装備で劣る反体制派には、国際社会の支援を得ることでこう着状態を打破したい思惑がある。カダフィ政権は反体制派と欧州の接近を警戒しており、「仏英米には東部の反体制派と接触して、リビアを分断しようという陰謀がある」(クーサ外相)と非難している。