NATO:「人道的介入」をリビアに警告

2011年3月8日 10時15分 更新:3月8日 10時37分

会見するNATOのラスムセン事務総長=ロイター
会見するNATOのラスムセン事務総長=ロイター

 【ブリュッセル福島良典】北大西洋条約機構(NATO、加盟28カ国)のラスムセン事務総長は7日、リビアのカダフィ政権による反体制派市民への攻撃が続けば、人権侵害の阻止を目的とした軍事行動を伴う「人道的介入」の可能性が高まるとの認識を示した。介入には国連の要請が必要との立場は崩していないが、最高指導者のカダフィ大佐に暴力の即時停止を迫る圧力を強めた形だ。

 ラスムセン事務総長は同日、ブリュッセルのNATO本部で記者会見し、カダフィ政権の反体制派攻撃を「人権侵害」「国際人道法の違反」と位置づけ、「組織的な民間人攻撃は『人道に対する罪』になる」と指弾した。その上で「攻撃が続けば国連や国際社会が傍観しているとは想像できない」「世界の多くの人々が『虐殺を止めるために何かしなければ』と思うだろう」とカダフィ政権に軍事介入の可能性を示して警告した。

 NATOは現在、「あらゆる不測の事態」(ラスムセン事務総長)に備えた軍事作戦の立案を進めており、(1)カダフィ政権の空爆から市民を守るための飛行禁止空域の設定(2)避難民の保護や武器禁輸の監視を目的とする艦船や軍用機の派遣--などの選択肢を検討中とみられる。具体的な対応は10日から2日間の日程でブリュッセルで開くNATO国防相会議で討議される。

 ラスムセン事務総長は「いかなるNATOの作戦も国連の要請に基づいて実施される」と述べ、飛行禁止空域の設定などには武力行使を認める新たな国連安保理決議が必要との立場を強調した。欧米メディアによると、米英仏は禁止空域設定を盛り込んだ決議案を準備中という。アラブ諸国で作る地域機構・アラブ連盟は「外国の軍事介入」に反対しながらも、禁止空域設定については支持する用意を示している。

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